Qualcommは9月1日からチップ価格を引き上げる。部材供給の逼迫に伴うコスト上昇への対応で、2025会計年度第3四半期決算はおおむね市場予想並みだったものの、今四半期の業績見通しは市場予想を下回った。米CNBCが7月29日(現地時間)に報じた。
同社は今四半期の調整後1株当たり利益(EPS)を2.05〜2.25ドル、売上高を97億〜105億ドル(約1兆4550億〜約1兆5750億円)と見込む。市場予想は調整後EPSが2.36ドル、売上高が100億2000万ドル(約1兆5030億円)だった。
純利益は20億ドル(約3000億円)で、前年同期の26億6000万ドル(約3990億円)から25%減少した。
同社によると、ウエハー生産や組み立て、テスト、先端パッケージング、メモリなど幅広い分野でコストが上昇している。一方で、売上高は引き続き堅調だとしている。
クリスティアーノ・アモンCEOは、値上げとサプライチェーンの効率化によって収益性の改善を図る考えを示した。コスト上昇に伴い価格改定は避けられないとしたうえで、高い調達コストによる売上総利益率の低下は一時的なものだと説明した。
主力のスマートフォン向け事業は低調だった。ハンドセット向けチップの売上高は51億ドル(約7650億円)で、前年同期比20%減となった。Qualcommは、中国市場の底打ち傾向が反映された数字だと説明した。アモン氏は、消費者の購買余力が圧迫されるなか、低価格帯と中価格帯のスマートフォン需要が弱含んでいると指摘。プレミアムAndroid端末でも、より低価格のモデルへの需要シフトが起きているとした。メモリ価格の上昇を背景に、プレミアム帯でも比較的安価なモデルや旧型機を選ぶ動きが強まっているという。
一方、自動車事業は堅調だった。自動車向け売上高は15億9000万ドル(約2385億円)。Qualcommは6月、2029年に自動車事業売上高100億ドル(約1兆5000億円)を目指す方針を示しており、この日はBMW向けデジタルコックピット用チップの供給契約も発表した。
同社は自動車、スマートグラス、ロボット分野へ事業の多角化を進めており、来年には非スマートフォン分野の売上比率を全体の60%に引き上げる目標を掲げる。IoT売上高は18億3000万ドル(約2745億円)で、前年同期比9%増加した。この部門には、低消費電力の産業用チップやスマートグラス向けチップが含まれる。
データセンター事業の拡大も続いている。アモン氏は、来年のデータセンター売上高50億ドル(約7500億円)の目標を維持すると明らかにした。Qualcommは同日、AI向けプログラミング技術を手がけるソフトウエア企業Modularの買収を完了したと発表。8月のカンファレンスでAIソフトウエアプラットフォームを公開する予定だとしている。