World Liberty Financial(WLFI)は、自社ステーブルコイン「USD1」の決済対応を外部のオンライン事業者に広げる方針を示した。まずは暗号資産決済プラットフォームMeshの加盟店網との連携を今四半期に始める予定で、将来的にはUSD1の自社発行も視野に入れる。
ブロックチェーンメディアのCointelegraphによると、WLFIは7日(シンガポール現地時間)、シンガポールで開かれた「Token2049」のパネルで、USD1の決済対応拡大の方針と提携スケジュールを明らかにした。
戦略の中心は、決済ネットワークの拡大だ。Meshの共同創業者兼CEO、バム・アジジ氏は、USD1の保有者が同社の加盟店ネットワークで同ステーブルコインを利用できるようになると説明した。連携は今四半期中に始める予定という。
WLFIは、自社アプリ内にとどまらず、外部のオンライン事業者にもUSD1の利用先を広げる考えだ。共同創業者のザック・フォルクマン氏は、一部の大手Web2企業への導入もすでに進めていると述べた。USD1を単なる保有資産ではなく、実際の決済手段として普及させる狙いがある。
今回の発表は、将来的な発行体制の見直しとも重なる。現時点でUSD1はBitGoが発行している。準備資産は現金、米国債のマネー・マーケット・ファンド(MMF)、そのほかの現金同等物で構成し、米ドルとの連動を維持する仕組みだ。CoinGeckoによると、7日時点のUSD1の時価総額は44億5000万ドルだった。
WLFIは将来的に、USD1を自社で発行する案も検討している。米通貨監督庁(OCC)は8月、WLFIに対し、ドル建てステーブルコインの発行とデジタル資産のカストディを目的とする国立信託銀行の設立を条件付きで承認した。WLFIのCEO、ジャック・ウィトコフ氏は、この認可を基に自社が発行主体となれるとの見方を示した。
一方で、規制を巡る論争も続いている。エリザベス・ウォーレン上院議員は、トランプ一家とWLFIの関係について利益相反の問題があると批判した。ウォーレン氏ら上院議員はこれを受け、「大統領の銀行業界腐敗終結法」を提出した。これに対しOCCは、審査過程において幹部と職員が法的義務と倫理基準に沿って行動したと説明している。
WLFIは、決済対応の拡大と発行体制の自前化を並行して進めることで、USD1の流通基盤を広げる構えだ。今四半期にMesh加盟店網との連携が始まれば、USD1が実際の決済手段としてどこまで普及するかを占う最初の試金石となりそうだ。