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動画配信の品質を支える基盤技術の1つが、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)だ。NetflixやYouTubeの映像は、遠方のオリジンサーバーから毎回直接送られてくるわけではない。利用者に近いサーバーにあらかじめ配置したデータを配信することで、遅延や混雑を抑え、アクセス集中時の負荷も分散している。

通信や放送の現場では、こうした見えにくい技術基盤がサービス品質を大きく左右する。本稿では、動画配信を支えるCDNの仕組みと役割を追う。

ソウルでNetflixを起動して映画を再生した場合、表示される映像データがそのたびに太平洋を越えて米国のサーバーから届くわけではない。一般的には、利用者に近い場所に保存されたコンテンツを呼び出して再生する。

数千万人が同時に動画を視聴し、ゲームをダウンロードする時代に、すべてのデータを1台のオリジンサーバーから配信するのは非効率だ。利用者とサーバーの距離が離れるほど、通過するネットワーク区間は長くなる。特定のサーバーや回線に通信量が集中すれば、速度低下のリスクも高まる。こうした課題に対応するのがCDNである。

◆利用者の近くにコンテンツを置く 鍵を握るのは距離

CDNの仕組みは比較的シンプルだ。動画や画像、ゲームのインストールファイルなどをオリジンサーバーだけに置くのではなく、各地のサーバーに分散して保存する。利用者がコンテンツを要求すると、オリジンサーバーより近いCDNサーバーが代わりにデータを送信する。

こうした複製データを保存するサーバーは、一般にキャッシュサーバーやエッジサーバーと呼ばれる。利用者とデータの物理的、ネットワーク的な距離を縮めることで応答時間を短縮し、オリジンサーバーに集中する通信量も分散する。

もっとも、すべてのコンテンツが常に近くのサーバーに保存されているわけではない。要求されたデータがキャッシュにあれば即座に配信し、なければオリジンサーバーや上位サーバーから取得して届ける。重要なのは、同じコンテンツへの要求のたびに、遠方のオリジンサーバーまで繰り返し取りに行かずに済む点にある。

代表例がNetflixだ。Netflixは自社CDNの「Open Connect」を運用している。インターネットサービスプロバイダー(ISP)のネットワーク内に「Open Connect Appliance(OCA)」と呼ぶ専用サーバーを設置したり、インターネット接続点(IXP)などのサーバーと直接接続したりしている。

利用者が映像を再生した際、近くのOCAにそのコンテンツがあれば、そこから映像データが配信される。Netflixによると、ISP内に設置したOCAは地域単位でコンテンツを分散して処理し、必要なコンテンツは定期的に補充・更新されるという。

YouTubeを運営するGoogleも同様の仕組みを採る。ISPネットワーク内に「Google Global Cache(GGC)」を設置し、一部のGoogleコンテンツを利用者に近い場所から提供している。Googleは、これによりISP外部のネットワークや相互接続区間にかかる通信量の負担を軽減できると説明している。

◆アクセス集中時に効果 複数サーバーで負荷を分散

CDNの効果が最も表れやすいのは、利用者が一斉にアクセスする局面だ。人気ドラマの新シーズン公開時やスポーツ中継の開始直後には、短時間で同じコンテンツに視聴が集中する。こうした大量の要求を1台のオリジンサーバーで処理しようとすれば、サーバーだけでなく接続ネットワークでもボトルネックが起こり得る。

CDNは、この処理を複数のサーバーに分散する。ソウルの利用者はソウルや近隣のネットワーク拠点で、他地域の利用者はそれぞれの地域に近い拠点でコンテンツを受け取るイメージだ。特定のサーバーに障害が発生した場合でも、別のサーバーへ迂回させる構成を取りやすい。

ただし、CDNだけで映像の途切れを完全に防げるわけではない。Wi-Fi環境や移動体通信網の品質、端末性能など、端末側の接続環境も影響する。このため動画配信サービスでは、ネットワークの状態に応じて画質を変えるアダプティブビットレート(ABR)とCDNを組み合わせている。

◆通信・クラウド事業者も展開 全国網やデータセンターを活用

CDNはNetflixやGoogleのようなプラットフォーム企業だけの技術ではない。通信事業者やクラウド事業者も、全国の通信網やデータセンターを基盤にCDNサービスを提供している。SK Broadbandはライブ配信や大容量ダウンロードを支援するCDNを運用しており、KT Cloudも大容量コンテンツを複数拠点に分散配信するCDNサービスを展開している。

通信事業者は、利用者につながる回線網を直接保有している。このため、コンテンツを利用者に近いネットワーク拠点へ配置しやすい。長距離区間を行き来する通信量を減らし、大規模アクセス時の負荷を分散できる点で、CDNと通信網の結び付きは強い。

CDNが示しているのは、インターネットでも距離が依然として重要だということだ。世界中のどこにあるサーバーにも接続できる一方、データをどこまで運ぶ必要があるのか、どこで処理するのかによって、利用者が体感する速度やサービス品質は変わる。Netflixで再生ボタンを押した直後に高画質の映像をすぐ視聴できる背景には、各地に分散したCDNサーバーが利用者の近くからコンテンツを配信する仕組みがある。

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