米イリノイ州で今後10年間に570億ドル規模のデータセンター投資が見込まれている。関連する雇用効果は12万1000件に上る一方、施設稼働後に残る恒常的な直接雇用は約2800件にとどまる見通しだ。
米ITメディアのTechRadarが6日(米国時間)に報じたところによると、イリノイ経済政策研究所(ILEPI)とイリノイ大学の中産階級再建プロジェクトは、2035年までに予定されるデータセンター投資について、直接・間接を合わせて約12万1000件の雇用効果が生じると分析した。もっとも、その多くは建設段階やサプライチェーン、労働者の消費拡大に伴って発生する一時的な雇用だとしている。
報告書では、建設段階で約3万9000件の熟練職が生まれるほか、消費支出の増加により飲食や製造業などで4万1751件の派生雇用が追加されるとした。一方、データセンター稼働後にITやエンジニアリング分野で維持される恒常的な直接雇用は約2800件と推計した。
570億ドルの投資額をこの恒常雇用ベースでみると、1件当たり約2020万ドルに相当する計算になる。
経済効果としては、固定資産税収の増加も見込まれる。データセンターがすべて稼働した場合、年間約3億ドルの固定資産税収が発生する可能性がある。報告書は、税制優遇がなければ、平均的な規模の郡では住民の固定資産税負担を3~10%軽減できる可能性があるとの見方も示した。
ただ、開発事業者向けの税制優遇が大きくなるほど、地域社会に残る利益は小さくなると指摘している。
一方で、電力コストの増加は大きな課題だ。研究チームは、2035年までにデータセンターが6.5GWの電力需要を新たに押し上げる中間シナリオを前提に、家庭用電気料金が月額で約12ドル、年額で150ドル上昇する可能性があると試算した。電力システム全体のコストも約10%増える可能性があるという。
また、米広域送電網の運用機関であるPJM Interconnectionは、北部イリノイのComEd管内におけるデータセンター需要が、2035年までに10.7GW増加する可能性があると示している。
報告書は、データセンター拡大の効果を評価するには、建設需要や税収増だけでなく、長期雇用の規模、税制優遇の水準、送電網投資に伴うコストまで含めて検証する必要があるとしている。