画像=X(@USDC)より

CircleがラッパーのDJ Khaledを「Team USDC」の一員であるかのように印象づける投稿を行い、暗号資産コミュニティで批判が広がっている。スポンサー契約やアンバサダー起用の正式発表は確認されていないものの、DJ Khaledが過去に関与したICO宣伝問題が再び注目を集めている。

ブロックチェーンメディアのDecryptが6日(現地時間)に報じた。発端は5日、USDCの公式X(旧Twitter)アカウントがDJ Khaledの写真とともに「Another one」と投稿したことだった。写真では、DJ Khaledが胸に「USDC by Circle」のロゴが入ったチェルシーのユニフォームを着用していた。

その約4時間後、CircleのCEOジェレミー・アレア氏もこの投稿を共有し、DJ Khaledに「Team USDCへようこそ」とコメントした。

ただ、投稿内ではスポンサー契約やアンバサダー起用、金銭の支払いに関する説明はなかった。Circleはチェルシーのユニフォーム胸部スポンサーで、DJ Khaledはチェルシーが5月に発表したRoc Nation関連プロモーションに登場した人物として知られる。現時点で、これとは別の契約が正式に発表された事実は確認されていない。

それでもSNS上では反発が強まった。ユーザーのジョセフ・スキアリチ氏はXで、「こうした詐欺案件に関わった人物と仕事をするな」と批判。「ICO宣伝の対価を開示せず、米証券取引委員会(SEC)から数十万ドル規模の罰金を科された人物をブランドの顔にするのか」と疑問を呈した。

批判の背景にあるのが、Centraを巡るICO事件だ。DJ Khaledは当時、複数の著名人とともにCentraトークンを宣伝し、報酬を受けた宣伝であることを開示しなかったとして、SECと和解した。支払った制裁金は15万ドル超(約2250万円)だった。

もっとも、DJ Khaled自身が詐欺容疑で起訴されたわけではない。問題となったのは、対価を受け取って投資性商品の宣伝を行いながら、その事実を開示しなかった点だった。

コミュニティ関係者からも批判が相次いだ。暗号資産の調査アカウント「Wazz Crypto」はCircleに対し、「Kim Kardashianをスポンサーにしたらどうか」と皮肉る投稿を行った。ステーブルコインの越境決済活用を積極的に支持してきた人物で、ブランドメッセージにも合うとしつつ、過去のEthereumMax宣伝を巡る論争を踏まえた風刺とみられる。

MetaMask出身のテイラー・モナーハン氏もXで反応し、「ニューヨーク・タイムズでも報じられ、米司法省とSECの捜査につながった代表的なICO詐欺事件の宣伝に関わった人物を、Circleは起用するのか」と批判した。

争点は、実際に契約があるかどうかだけではない。Circleが公式アカウントとCEO個人のアカウントの双方で、こうした過去を持つ人物を前面に押し出したこと自体を問題視する声が出ている。

Centra事件は2017年にさかのぼる。当時DJ Khaledは、Instagramの1240万人のフォロワーに向けてCentra Techのデビットカードの写真を投稿し、同社トークンを宣伝した。

SECの命令書によると、Centraはこの投稿の対価としてDJ Khaledに5万ドル(約750万円)を支払っていたが、DJ Khaledはその事実を開示しなかった。

その後、プロジェクトの中核事業にも虚偽があったことが明らかになった。検察によれば、CentraはVisa、Mastercardとの提携を虚偽に掲げていたほか、ハーバード・ビジネス・スクール出身と紹介していたCEO「マイケル・エドワーズ」も実在しない人物だった。

Centraは2500万ドル超(約37億5000万)を調達したが、共同創業者のロバート・ファーカス氏とソラブ・シャルマ氏はそれぞれ有罪判決を受けた。

DJ Khaledはその後、SECとの和解に基づく制裁を履行した。有価証券の宣伝で報酬を受け取ることを禁じる2年間の制限も、2020年11月に終了している。

法的には、DJ Khaledが暗号資産企業と再び契約するうえでの制約はない。ただ今回の一件は、ステーブルコイン発行体による著名人起用が、市場の信頼やブランド評価に直結し得ることを改めて浮き彫りにした。

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