人工知能(AI)関連株の上昇が一服すれば、資金の一部が暗号資産市場に向かう可能性がある――。Real Vision共同創業者のラウル・パル氏はこうした見方を示し、AIエージェントの普及が進んだ場合の恩恵は、BitcoinよりもEthereumやSolanaのようなスマートコントラクト基盤に及びやすいとの認識を示した。
ブロックチェーンメディアのCointelegraphが10月6日(現地時間)に報じた。パル氏は、高水準の米国債利回りとドル高が市場の流動性循環を妨げていると指摘。ドル安に転じれば、暗号資産には一段の上昇余地が生まれる可能性があるとしつつ、現時点ではその条件がすべて整ったわけではないと述べた。
同氏によると、足元ではAIと暗号資産が投資資金を奪い合う構図にあり、AI関連株が上値の重い局面に入るたび、暗号資産に資金が向かう流れが見られるという。Bitcoinは8月19日から25日にかけて約25%上昇し、8万ドルを付けた一方、同じ期間にAI関連の代表銘柄であるNVIDIAは7営業日続落したとしている。
もっとも、AI市場の急落がそのまま暗号資産の追い風になるわけではないとも指摘した。AIバブルが崩れれば市場全体から流動性が失われ、暗号資産の上昇を支える環境そのものが弱まる可能性があるためだ。
パル氏が望ましいシナリオとして挙げたのは、ドル安の進行、イールドカーブのスティープ化、そして銀行貸し出しの拡大に伴うマネー供給の増加だ。米10年債利回りは9月に5.29%まで上昇し、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を0.25ポイント引き上げたとされる。
そのうえで同氏は、こうした条件がすべて満たされなくても、AI関連株が横ばい圏に入れば、暗号資産へ資金が移る余地はあると説明した。
また、AIエージェントが生み出す暗号資産関連の経済活動の多くは、Bitcoinではなく、EthereumやSolanaのようなスマートコントラクト基盤に流れる可能性が高いとの見方も示した。Amazon Web Services(AWS)は6月、AIエージェントがWebコンテンツにアクセスする際、ステーブルコインで料金を支払えるよう支援しているという。Coinbaseも、x402プロトコルを通じて決済の検証と精算を支援しているとされる。
パル氏はさらに、将来的にはAIエージェントがプロジェクトに必要な資金をトークン発行で調達し、タスクを実行して収益を生み出すような形もあり得ると予測した。AIがスマートコントラクトを使って取引を執行するようになれば、EthereumとSolanaの採用拡大につながる可能性があるとしている。
ただ、EthereumとSolanaの優劣を巡る見方には慎重な姿勢を崩していない。Multicoin Capital共同創業者のカイル・サマニ氏が、今回の市場サイクルでSolanaの時価総額がEthereumを上回ると予測したのに対し、パル氏は「少しペースを落とす必要がある」と述べたという。
DeFiLlamaによれば、月曜日時点の直近24時間のアクティブアドレス数はSolanaが約320万で、Ethereumの38万7000を上回った。一方、DeFiプロトコルの総預かり資産(TVL)はEthereumが約544億ドルと、Solanaの67億ドルを大きく上回っている。
パル氏はこれを資本効率の差として捉え、Ethereumはユーザー数に比べてより多くの資本を引き付けている一方、Solanaは相対的に少額取引の比重が高いと評価した。
また同氏は、自身の見通しがオンライン上で切り取られ再拡散されることを理由に、今後は公の場で具体的な価格目標を示さない考えも明らかにした。2030年にBitcoinが100万ドルに達するとの見方については、採用拡大やETFへの関心、Bitcoinの担保活用などを織り込んだ「ミーム」に近いとしつつも、2032年までに100万ドルへ到達する可能性はあるとの立場を示した。