韓国ゲーム大手は、自社開発に加えて外部開発タイトルのパブリッシングを拡大している。NCSOFT「Astrae Oratio」、Nexon「The Legendary Moonlight Sculptor: Overgeared」、Krafton「Project Zeta」、NEOWIZ「WIND UP DEADMAN」。写真=各社

韓国のゲーム大手各社が、自社開発に加えて外部スタジオのタイトルを取り込むパブリッシング戦略を強化している。大型タイトルの開発期間が長期化する中、自社作品への依存を和らげ、新規IPの確保やジャンルの拡充につなげる狙いがある。

業界によると、主要各社の新作構成には変化が出ている。NCSOFTは自社開発の新作10本超に加え、パブリッシングタイトルも6本以上を確保。Nexonも今年下期に入り、外部開発タイトルの韓国内向けラインアップを相次ぎ拡充している。

KraftonとNEOWIZも、自社開発と外部パブリッシングを並行して進め、新作パイプラインの拡大を図っている。

NCSOFTはこれまでMMORPG中心だったラインアップを、サブカルチャー系やシューティングなどへ広げる過程で、外部開発会社の活用を進めている。

同社はBig Game Studio開発の「Limit Zero Breakers」と、Dynamis Oneの「Astrae Oratio」をパブリッシングする。さらに、米MTVesselが開発中のシューティングゲーム「Defect」については、グローバル配信権も確保した。

Dynamis OneとMTVesselには直接出資も実施した。ジャンル経験を持つ開発会社への投資と配信権の確保を通じてラインアップを拡充し、自社開発とパブリッシングの両輪で新規IPの確保とジャンル多角化を進める構えだ。

Nexonも自社開発作品に加え、外部タイトルを取り込んでいる。7月にはbilibili開発の「HIGAN: Eruthyll」、8月にはBlizzard Entertainmentの「Overwatch」の韓国内サービスを開始した。

さらに今月1日には、Gray Gamesが開発中のMMORPG「The Legendary Moonlight Sculptor: Overgeared」の事前登録を始めた。中国Manjuu Gamesが開発中のオープンワールドRPG「Azur Promilia」についても、韓国内パブリッシングを担う。

Nexonも、自社開発とパブリッシングを並走させながら、新作パイプラインとジャンルの裾野を広げる方針だ。

◆新作投入の空白を埋め、ジャンルも拡大

ゲーム各社がパブリッシングを拡大する背景には、新作開発を取り巻く構造変化がある。

大型新作は開発期間が数年に及ぶケースが珍しくない。発売延期やプロジェクト中断が起きれば、次の新作までの空白が長引く可能性がある。仮にリリースにこぎ着けても、期待した成果を上げられなければ、長期にわたって投じたコスト負担が重くのしかかる。

自社開発タイトル数本に依存する体制では、個別プロジェクトの成否が、会社全体のラインアップや業績に及ぼす影響は大きくなる。

そのため、外部開発タイトルをあわせて確保できれば、自社プロジェクトの進捗とは別に新作の供給源を増やせる。社内に知見が乏しいジャンルへも、比較的早い段階で参入しやすくなる。

Kraftonは、「PUBG: BATTLEGROUNDS」に続く新規IPの確保に向け、自社および傘下スタジオに加え、外部開発会社とも連携を進めている。gamescom 2026では、「Project Zeta」「Age Twister」「TARAE: Unbound」など、外部開発会社による新作をパブリッシングラインアップとして公開した。

NEOWIZも、自社開発の新作5本とパブリッシングタイトル3本を並行して準備している。自社IPの開発を進めつつ、WolfEye Studios、Zakazane、Sein Nutsなど外部開発会社の作品を加え、新作パイプラインを広げている。

もう1つの狙いは、新たなジャンルの取り込みだ。MMORPGを主力としてきた企業が、サブカルチャー系やシューティングを内製で立ち上げるには、人材の確保と開発経験の蓄積が欠かせない。

一方で、そのジャンルに実績を持つ開発会社と組めば、開発側は制作に集中し、大手ゲーム会社は資金や運営、サービス展開を担う形で役割分担できる。

こうした最近のパブリッシング拡大は、単に不足分の新作を埋めるというより、複数プロジェクトにリスクを分散するポートフォリオ戦略に近い。自社開発タイトル単体のスケジュールや成否への依存度を下げ、外部プロジェクトでジャンルと投入時期を補完するためだ。

◆「作る力」から「選ぶ力」へ

パブリッシングの役割は、もはや単純な流通にとどまらない。初期投資や配信権の確保から、ローカライズ、グローバルマーケティング、プラットフォーム展開、リリース後のライブサービスまで、関与領域は広がっている。

有望作を探して契約するだけでは不十分だ。どの地域、どのプラットフォームに投入するかを見極め、ユーザー獲得から実績につなげるまでの一連のプロセスが、パブリッシャーの役割になっている。

競争力の源泉も変わりつつある。どれだけ多くのゲームを自社で作れるかだけでなく、有望な開発会社やプロジェクトを先んじて発掘・確保し、グローバル市場で成果に結び付ける力が重要になっている。

もっとも、パブリッシングが自社開発より安全というわけではない。外部開発タイトルでも開発遅延や興行不振は起こり得るほか、投資資金や契約金、マーケティング費用を回収できない可能性もある。

複数タイトルを確保する力と同時に、どのプロジェクトを選ぶかという見極めも問われる。

ゲーム各社によるパブリッシング拡大は、自社開発を置き換える動きというより、新作確保の手段を広げる取り組みといえる。中核IPは自社で育成しつつ、外部プロジェクトで投入サイクルとジャンルを補完する構図だ。

業界関係者は「大作ゲームの開発期間が長くなり、自社開発作品だけで安定した発売スケジュールを維持するのは難しくなった」とした上で、「今後はゲームを作る力に加え、競争力のある外部プロジェクトを発掘し、グローバル市場で成果につなげるパブリッシング能力も重要になる」と話した。

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