個人向けAIエージェントの普及を受け、サーバー向けCPUの需要が拡大している。GPUが主役だったAIインフラでもCPUの役割が見直されており、AMDとIntelに追い風となる可能性がある。米CNBCが6日(現地時間)に報じた。
生成AIの普及初期には、NVIDIAのGPUが市場をけん引した。だが足元では、AIエージェントが作業を計画し、数時間から数日にわたってバックグラウンドで自律実行するケースが増えている。Signal65のライアン・シュラウト代表は、エージェントの開発と活用が進むほど、ワークロードの一部がGPUからCPUへ移る可能性があると指摘した。
CNBCによると、Metaの「Muse」やOpenAIの「Dots」といったエージェントは、長時間に及ぶ自律作業をこなす過程でCPUの利用比重を高めているという。GPU偏重だったAI基盤の構成に変化が生じつつあるとの見方だ。
Metaは9月初旬に「Muse」を公開し、公開後2週間足らずでAppleのApp Storeランキング首位に立った。OpenAIも先週、エージェント「Dots」を投入した。利用者の報告やベンチマーク結果によれば、「Muse」はAMDベースのコンピュータで、「Dots」はAMD EPYC CPUを搭載した仮想コンピュータ上で動作したという。
一方で、Metaは特定のCPUベンダーに依存しないようシステムを設計したとしている。OpenAIも複数のCPUサプライヤーを採用している。Amazon、Google、Meta、Microsoftなどのハイパースケーラーの多くはIntelまたはAMDのCPUを利用しているが、主要クラウド各社はArmベースの自社開発チップの導入も進めている。
AMDはCPUとGPUの両事業の成長を追い風に、時価総額1兆ドル企業となった。6月締め四半期のデータセンター部門売上高は67億ドルで、前年同期の2倍超に拡大し、全社売上高の約60%を占めた。AMDのダン・マクナマラ上級副社長は、直近8~10カ月でAIエージェント活用をめぐる議論が大きく変わったとし、CPU需要の拡大が本格化するとの見方を示した。
AIエージェントのアーキテクチャもCPU需要を下支えしている。MetaとOpenAIは、1台のサーバーを複数の仮想コンピュータに分割する仮想マシン方式を採用している。Futurum Groupのダニエル・ニューマンCEOは、GPUがAIモデルの推論を担い、CPUが実際のワークフローを実行する構図だと説明した。「Dots」で使われたAMD EPYC 9V74 CPUは再販市場で3000ドル未満(約45万円)で入手できる一方、NVIDIAのGPUは単一チップでもその10倍を超える価格になる例が多いという。
市場予測も強気だ。Futurum Groupは、2027年のCPU売上高が市場全体で1180億ドル(約17兆7000億円)に達すると見込む。AMDは、2030年のCPU市場が2200億ドル(約33兆円)規模に拡大すると予想している。
AMDはx86 CPUの出荷量ベースで約46%のシェアを確保している。Intelも需要増の恩恵を受けるとみられるが、ハイパースケーラー市場での採用実績に加え、既存ソフトウェアとの互換性が高いx86陣営の強みは引き続き大きい。とりわけAMDは、その需要取り込みで優位性を発揮する可能性がある。