国際通貨基金(IMF)は、エルサルバドル向け1億3900万ドル(約209億円)の融資実行を承認した。経済指標の改善を評価した一方で、政府のビットコイン関連活動については一段の縮小を求める姿勢を改めて示した。
2日付のBitcoin Magazineによると、IMFはエルサルバドル経済が想定を上回って推移していると評価した。治安の改善や投資家信認の回復が成長を下支えし、マクロ経済上の不均衡の是正も進んでいると説明した。
その一方で、ビットコイン政策については従来の条件を維持した。IMFは、一部の成果基準が未達だったとしたうえで、特にビットコインの買い増しに関する項目を問題視した。ただ、是正措置と追加的な確約を踏まえ、例外的に今回の実行を認めたとしている。
焦点となっているのは、エルサルバドル政府によるビットコインへの関与縮小だ。IMFは、政府のビットコイン関連活動が段階的に整理されているとし、文書で確認された寄付分を除き、追加のビットコイン取得は想定していないと明らかにした。
エルサルバドルは2021年、ビットコインを法定通貨として採用した。これ以降、IMFを含む主要な国際機関は、同国のビットコイン政策に対して繰り返し懸念を示してきた。
同国はIMFとの間で開発資金支援を巡る協議も進めてきた。昨年12月末には、双方が14億ドル(約2100億円)規模の融資で合意したが、IMFは前提条件としてビットコイン戦略の一部縮小を求めていた。
ビットコイン保有を巡っては、IMFとエルサルバドル政府の説明にも食い違いがある。IMFは9月、同国がビットコインを購入していないと説明した一方、エルサルバドルのビットコイン事務局は、政府が暗号資産の購入を継続していると繰り返し主張していた。
ナイブ・ブケレ大統領は2022年、1日当たり1ビットコインを購入すると表明した。ただ、報道では実際の資金源や購入の有無は明確ではなかったとされる。
IMFは9月の時点でも、エルサルバドルは少なくとも一定期間、公的資金を使ってビットコインを積み増しておらず、保有分は民間からの寄付によるものだと説明していた。今回も同様に、文書で確認された寄付分のみを認める姿勢を維持した。
このため、エルサルバドルのビットコイン保有がどの財源で積み上がってきたのか、また今後、政府として追加購入を停止するのかが改めて注目されている。
同国のビットコイン普及戦略については、すでに期待に届いていないとの見方も出ていた。政府は2021年、国民にビットコインを配布し、ドル化経済の下で暗号資産の利用拡大を狙って専用ウォレットも投入した。
しかしブケレ大統領は2024年、国民がビットコインで商品を購入する動きは想定ほど広がらなかったと認めた。それでも政府は、ビットコインを買い増しているとのメッセージを維持してきた。
今回の発表は、エルサルバドルがIMFの資金支援を受けつつビットコイン政策を続けるうえで、なお大きな制約が残っていることを示している。経済改善を背景に融資実行は認められたものの、政府主導のビットコイン拡大戦略は、追加取得の抑制と公的関与の縮小という条件の下で、さらに狭められた格好だ。