米ニューヨーク州とワイオミング州の金融規制当局が、暗号資産企業に対する審査・監督の連携を強化する。ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)とワイオミング州銀行局は10月1日、許認可や検査、制裁対応を含む覚書(MOU)を締結した。
ブロックチェーンメディアのCointelegraphによると、対象となるのは、いずれかの州ですでに規制下にある企業と、両州で認可取得を目指す企業。両当局は監督情報を共有し、手続きの重複を減らす方針だ。
MOUに基づき、両当局は審査資料や過去の検査データを共有する。検査日程の調整も進め、両州で事業を展開する企業に対しては共同検査も行いやすくする。
一定の条件を満たす企業向けには、相手州への進出時に迅速審査の枠組みも設ける。既存の免許・認可を少なくとも3年間維持し、制裁対象となっていない企業は、簡素化した審査の対象となる。こうした案件では、もう一方の当局が6カ月以内に結論を出すことを目標とする。
連携は監督や制裁対応にも及ぶ。両当局は監督報告書や市場動向データに加え、潜在的な制裁措置に関する情報も共有する。調査情報も定期的にやり取りし、必要に応じて制裁措置を共同で講じるほか、個別対応も可能とする。
今回の協定は、これまで異なる規制アプローチを取ってきた2州を結び付ける動きとして注目される。ニューヨーク州は2015年以降、BitLicense制度を維持し、NYDFSが厳格な許認可基準を運用してきた。
一方、ワイオミング州は、暗号資産に特化した法律や規定、特別銀行の認可制度を通じ、デジタル資産企業の受け入れに前向きな制度運用を進めてきた。このため事業者は州ごとに異なる対応を迫られてきたが、今回の連携により監督手続きの一部が軽減される可能性がある。
もっとも、共有対象は審査資料や過去の検査データにとどまらない。潜在的な制裁措置や調査情報まで連携の範囲に含まれるため、手続きの簡素化と同時に監督の実効性が高まる可能性もある。
今回のMOUは、両州の制度そのものを変更するものではない。ただ、2州で事業を行う暗号資産企業について、審査、検査、制裁対応を一体的な枠組みで扱う体制づくりが始まった点に意味がある。