米イリノイ州の税務当局は、0.2%の税率のデジタル資産取引税を巡る規則案を公表した。ステーブルコインを課税対象に含める一方、NFTは対象外とした。また、DeFiやブリッジ、自己保管ウォレットへの送金についても、手数料の有無などに応じた判断基準を示した。
9月30日、Cointelegraphによると、同州税務当局はデジタル資産取引税の施行に向けた規則案を公表し、課税対象となる取引類型と資産の範囲を具体化した。
規則案では、ステーブルコインを「デジタル資産」に分類し、課税対象に含めた。一方、非代替性トークン(NFT)は対象外とした。
DeFi取引は原則として非課税とした。ただ、利用者がサービスの対価として手数料を支払う場合は、課税対象となる可能性を残した。対象となるのは、プラットフォームの運営・維持の対価として徴収されるプロトコル手数料だ。これに対し、ネットワーク手数料や、流動性提供者にのみ支払われるスワップ手数料は課税対象から除外した。
ブリッジ利用についても、課税対象となる可能性がある。規則案は、デジタル資産仲介業者を通じて対価を支払い実行されるブリッジ取引を、課税可能な交換行為と定義した。中央集権型取引所から自己保管ウォレットへ資産を移す送金についても、取引所が手数料を課す場合は課税対象となり得るとした。
この基準では、同じデジタル資産の移転でも、取引の構造によって税務上の扱いが変わる可能性がある。単なる資産移動とみなされがちな取引でも、仲介サービスの関与や手数料の設定次第で課税対象になり得るためだ。移転先だけでなく、送金過程で利用したサービスや支払ったコストも判断要素となる。
税務当局は今回の規則案について、課税対象となる取引とデジタル資産の範囲など、具体的な適用基準を示すものだと説明した。DeFi取引は原則非課税としつつ、「価値ある対価」が授受される場合には例外を設ける方針だ。ブリッジ利用や自己保管ウォレットへの送金についても、手数料が発生する構造であれば課税対象に含める余地を残した。
業界の関心は、施行前に実施される意見募集の手続きに集まっている。税務当局は10月30日まで規則案への意見を受け付ける予定だ。ステーブルコイン、DeFi、ブリッジ、自己保管ウォレットへの送金などは課税と非課税の境界がなお曖昧なため、業界側が適用範囲の縮小や例外条件の明確化を求める可能性がある。意見募集で出た要望が最終基準にどの程度反映されるかも焦点となる。
今回の規則案は、米国の州レベルにおける暗号資産課税の議論が、単純な売買にとどまらず、DeFiやオンチェーン上の資産移転にまで広がっていることを示している。今後の主な論点は、どの手数料を課税根拠となる対価とみなすかにありそうだ。自己保管ウォレットへの送金やブリッジ利用のうち、どの取引を非課税とし、どの条件で課税対象とするのか、より明確な線引きが求められる。