NASDAQ上場のKIDZ AIが、Teslaのロボタクシー500台の導入可能性を探っている。ただし現時点では正式な購入契約ではなく、初期的な調達照会にとどまる。採算性や資金面の課題も大きく、実現性はなお不透明だ。
電気自動車メディアのElectrekによると、KIDZ AIは9月30日(現地時間)、Teslaに対し、500台規模のロボタクシー調達に関する照会を行った。自動運転車両の確保から配備、運用までを含むフリート事業を検討しており、Tesla以外の自動運転プラットフォームも選択肢に含めるとしている。
もっとも、実際の導入が決まったわけではない。KIDZ AIは今回の照会について、拘束力のある発注や車両割り当てを意味するものではないと説明した。事業は企画、評価、提携先の探索といった初期段階にあり、経済性が見込めないと判断すれば計画を進めない可能性もあるという。
KIDZ AIはもともと、Classoverとして小中高生向けのオンライン教育事業を手掛けていた。2025年に特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて上場し、2026年5月には社名をKIDZ AIに変更。教育事業から、AIインフラやロボット分野へと事業領域を広げた。
足元の業績は厳しい。2026年4〜6月期のサービス売上高は48万ドルで、前年同期比34%減。純損失は約250万ドルだった。
事業戦略の転換も相次いでいる。前年には最大5億ドル規模の転換社債契約を結び、純調達額の約80%をSolana(SOL)の購入に充てる方針を示したが、実際の初期調達額は1100万ドルにとどまった。6月にはSolana中心の戦略からHyperliquidと利回り型ステーブルコインへ比重を移し、その後はGPUクラウドとデータセンター事業の拡大を進めた。7月には5年間で4460万ドル規模のGPUコンピューティングサービス契約も結んでいる。
こうした状況を踏まえると、ロボタクシー計画の規模に対して財務基盤は小さい。報道によると、発表時点の時価総額は約240万ドルで、株価は過去1年で約99.97%下落した。NASDAQ上場維持に向け、6月に1対10、8月に1対15の株式併合も実施している。
イーロン・マスク氏が示したCybercabの目標価格である3万ドル未満を前提にしても、500台なら単純計算で約1500万ドルが必要になる。これに対し、KIDZ AIの6月末時点の現金および使途制限付き現金は888万ドルだった。
今回の発表で問われるのは、500台という台数そのものではない。実際に車両を確保し、必要資金を調達し、商用フリートとして運用する段階まで持ち込めるかどうかが最大の焦点となる。