BYDは、全固体電池を搭載した初の車両を2027年に披露する方針を明らかにした。車種や発売時期などの詳細は現時点で公表していないが、2030年前後の量産化も視野に入れ、実車への適用を段階的に進める考えだ。
Engadgetが9月27日に報じたところによると、BYDは全固体電池の技術開発と商用化の両面で先行しているとの認識を示した。ステラ・リー上級副社長はCarwow Spainとのインタビューで、「BYDは全固体電池分野で先行しており、技術と商用化の両面で優位にある」と述べた。
あわせて、2027年に同技術を初めて採用した1モデルを披露する計画も示した。ただ、この車両が一般消費者向けの市販量産車になるかどうかは明らかになっていない。ステラ・リー氏は、車種や発売日、電池容量、性能といった詳細には触れていない。
現時点で公表されている内容を見る限り、2027年の計画は量産販売そのものというより、全固体電池を実車に搭載したデモの位置付けとみられる。
こうした発言は、BYDの電池子会社FinDreamsのスン・ファジュンCTOが2025年2月の電池関連カンファレンスで示したロードマップとも一致する。スン氏は当時、2027年に全固体電池のデモと車両搭載を開始し、2030年前後に量産・適用段階へ移行する計画を示していた。
BYDが開発を進めているのは、硫化物系の全固体電池だ。
同社は、全固体電池が既存のリチウムイオン電池を短期で置き換えることはないとみている。リェン・ユーボ上級科学者は、全固体電池は主に高級モデル向けに採用し、リン酸鉄リチウム(LFP)電池と併用しながら、車両の価格帯に応じて使い分ける方針を明らかにした。
つまり、LFP電池が短期で姿を消すのではなく、当面は全固体電池と並行して使われる見通しだ。
全固体電池は、リチウムイオン電池で使われる液体電解質を固体電解質に置き換える技術。エネルギー密度の向上が期待できるため、電池の小型・軽量化を図りながら、1回の充電で走行できる距離の拡大につながるとされる。
火災リスクの低減や、極端な温度環境での作動可能性も利点として挙げられる。BYDが開発中の硫化物系全固体電池については、急速充電性能や安全性、寿命の面でも改善が見込まれている。
もっとも、現時点で最大の課題はコストだ。このため、全固体電池は当初、比較的価格帯の高い車種への採用が有力視されている。
適用候補としてDenza Zなどの車種名も挙がっているが、BYDが具体的な搭載モデルを確定したわけではない。
全固体電池を巡っては、完成車メーカー各社の開発競争も続く。Toyotaは2027~2028年の全固体電池車投入を目標に掲げ、Mercedes-Benzは全固体電池を採用したEQSの試験を進めてきた。
Stellantisは2026年、全固体電池を搭載したDodge Charger Daytona開発車の公道試験に入った。Hondaも今年、QuantumScapeと全固体電池の共同研究に関する協約を結んでいる。
BYDの今回の方針表明で、全固体電池の開発競争は研究段階から実車適用へと一歩進んだ形だ。ただ、2027年は技術実証とデモ、2030年前後は量産段階という位置付けであり、今後は車両性能、生産コスト、適用範囲が実用化の焦点となる。