米証券取引委員会(SEC)で暗号資産に前向きな立場を示し、「クリプト・マム(Crypto Mom)」の異名で知られるヘスター・ピアース委員が、10月2日付で退任する。
暗号資産メディアのU.Todayが9月25日に報じた。ピアース氏は同日、提出した辞任書簡の写真をSNSに投稿し、「T minus 7」とだけ記した。公開された書簡には、辞任の発効日が10月2日と明記されていた。
辞任書簡でピアース氏は、SEC委員として職責を担えたことへの謝意を示し、「SECで務めることができたのは、私の職業人生における最大の栄誉だった」と述べた。あわせて、適切な規制の枠組みの下で、個人が自ら投資判断を行える環境の重要性を改めて強調した。
さらに、ポール・アトキンスSEC委員長とマーク・ウィエダ委員の下で、SEC職員が投資家保護と選択の自由の均衡を保っていくことに期待を示した。
今回の退任は想定されていた動きでもある。ピアース氏は2018年1月にSEC委員に初めて就任し、2020年に2期目に入った。2期目の任期は2025年6月5日に満了していたが、SEC委員は後任が任命されない場合、任期終了後も約18カ月間は職務を継続できる。SECの公式サイトでも今月中旬時点で、アトキンス委員長、ピアース氏、ウィエダ氏の3人が現職委員として掲載されている。
在任中のピアース氏は、暗号資産規制を執行偏重で進めるアプローチに繰り返し異論を唱え、業界内で「クリプト・マム」と呼ばれるようになった。最近までデジタル資産関連の政策議論に関与しており、9月23日の講演でも自身のSECでの任期が終盤に入ったことに言及していた。
退任後の勤務先も決まっている。リージェント大学は5月、ピアース氏が11月から法科大学院の准教授に就くと発表した。約8年9カ月にわたりSEC委員を務めた同氏は、規制当局を離れ、法学教育の現場に移る。