暗号資産デリバティブ取引所のBitMEXが、約12年にわたる取引所事業を終了した。23日午前4時(UTC)をもって全取引を停止し、現在はログインと出金機能のみ利用できる。利用者には速やかな出金を呼びかけており、残高を残した口座には手数料が発生する。
ブロックチェーンメディアのDecryptによると、BitMEXは23日、全ての取引を停止した。これにより、利用者はログインと出金以外の機能を利用できなくなり、取引や入金、新規ポジションの建てはできない。
BitMEXはX(旧Twitter)を通じ、利用者資産は安全に保管されていると説明したうえで、同社のアドレスへ新たに送金しないよう求めた。事業終了後に送金された資金は、口座に正常に反映されない可能性があるとしている。
出金を先送りした場合の負担についても案内した。本人確認(KYC)を完了した口座に残高を残す場合、年率1%または50ドル相当額(約7500円)のいずれか高い方をアカウント手数料として課す。手数料は毎月請求される。
セキュリティ手続きも強化する。BitMEXは、出金時にKYC情報を再確認するほか、一定期間、出金を保留する措置を段階的に適用するとした。出金を早めると称して接触してくるフィッシング詐欺にも注意を呼びかけている。
今回の事業終了は、7月に公表した事業整理計画に基づくものだ。運営会社HDR Global Tradingは当時、事業環境と暗号資産業界全体を踏まえ、取引所の閉鎖を決めたと説明していた。その後、新規登録を停止し、8月26日からは新規ポジションの建ても制限。既存の未決済ポジションについても清算手続きが進められていた。
BitMEXは2014年設立の暗号資産デリバティブ取引所。満期のないパーペチュアルスワップを主力商品として展開し、暗号資産デリバティブ市場の初期成長をけん引した。かつては最大100倍のレバレッジを提供し、高水準の取引高を記録したこともある。
一方で、規制対応は経営上の重荷となっていた。BitMEXは2024年、米国の銀行秘密法違反を巡る事案で有罪を認め、1億ドル(約150億円)の罰金を支払った。その後、2025年3月には、ドナルド・トランプ米大統領が共同創業者のアーサー・ヘイズ、ベン・デルロ、サミュエル・リードを恩赦した。
BitMEXは事業終了にあたり、これまでの利用に謝意を表明した。取引所機能は停止したが、当面は出金対応と口座管理が利用者にとっての主な手続きとなる。