Geelyは、大型SUV「Battleship 700」を中国で発売した。最大の特徴は、浸水時に車体後部の2基のプロペラで水上走行できる「緊急浮力・脱出モード」を備える点だ。レジャー向けの水陸両用車ではなく、非常時の退避支援機能として打ち出している。
InsideEVsが21日(現地時間)に報じた。Battleship 700は車体後部に専用プロペラを2基搭載し、水上での移動を可能にする。
各プロペラの出力は約11.5馬力。通常時は排気口のような外観だが、車両が水に入ると推進装置として作動する。Geelyはこの機能について、湖や川を横断する用途ではなく、浸水時に乗員の退避を支援するための非常用機能と説明している。水上での速度は時速約4マイルをやや上回るとしている。
水上走行を支援するため、ソナーも搭載した。水中の障害物を検知し、衝突リスクの低減につなげる。水上航行は約40分で、エンジン停止後も最大2時間は浮上状態を維持できるという。Geelyは、推進による移動時間と、浮力を保つ時間は別機能として区分している。
中国のEV市場では、水上走行機能を備えたSUVはBattleship 700が初めてではない。先行例として、BYDの高級SUV「Yangwang U8」も緊急浮力機能を備える。
ただ、推進方式は異なる。Yangwang U8は車輪の回転で水上の推進力を得るのに対し、Battleship 700は車体後部に独立したプロペラを備える。InsideEVsは、Yangwang U8の水上走行速度が時速約2マイルなのに対し、Battleship 700は専用推進装置により、より高速で移動できると伝えている。
陸上では高性能PHEV SUVとして走行する。2.0リットルターボエンジンに電動モーター3基を組み合わせ、前輪に1基、後輪に2基を配置した。システム最高出力は1113馬力に達する。
バッテリー容量は47.14kWh。中国のCLTC基準では、エンジンとバッテリーを併用した航続距離は最大1100マイルとしている。
価格は中国で3万ドル弱から、上位グレードは5万8000ドルまで。中国での発売に合わせ、Geelyはオーストラリアなど海外市場への展開も進めている。
Battleship 700は、水上走行以外の機能も備える。高地走行向けの酸素供給システムを搭載し、Geelyはマスクの使用または車内での酸素供給に対応する設計だとしている。
こうした装備は、中国メーカーの差別化競争が快適装備の領域を超え、安全性や極限環境への対応に広がっていることを示す。従来の大型ディスプレイやAIアシスタントなどに加え、浸水時や高地走行時の対応力を訴求する動きが強まっている。
Battleship 700は、1113馬力の高性能SUVに水上脱出支援と酸素供給機能を組み合わせた異色のモデルといえる。中国メーカーが、自動車を単なる移動手段にとどまらず、非常時の乗員保護まで担う製品へと拡張している流れを示す事例として注目されそうだ。