SpaceXのイーロン・マスクCEOは16日、次世代通信衛星「Starlink V3」の投入を今月中に始めると明らかにした。22日に予定する超大型ロケット「Starship」の第14回試験飛行では、Starlink V3を26基打ち上げる計画だ。
マスクCEOは自身のSNS「X」で、「Starlink V3衛星群の投入が今月始まる」と投稿した。将来的には、現在運用する約1万1000基の衛星群と比べて100倍超の帯域を提供できるようになるとしている。
今回の発言は、22日に予定されるStarshipの試験飛行を念頭に置いたものとみられる。Starshipはこの飛行で初めて地球周回軌道に入り、約10時間で地球を6周する計画。その間にStarlink V3を26基、軌道へ投入する予定だ。
Starlink V3は、SpaceXが開発した第3世代の通信衛星。SpaceXは詳細な仕様を公表していないが、マスクCEOは5月の決算説明会で、その大きさを「ボーイング737級」と説明していた。
ボーイング737は世代によって全長28〜42メートル程度。海外メディアでは、Starlink V3は太陽光パネル展開時に全長60メートル超となる一方、収納時は全長約7メートル、重量は約2トンと報じられている。
SpaceXは2025年8月のStarship第10回試験飛行で、Starlink V3のモックアップ衛星8基を約1分間隔で展開・放出する試験に成功している。
Starlink V3には新型のフェーズドアレイアンテナを搭載する。上り最大160Gbps、下り最大1Tbpsの通信性能を持ち、既存のV2衛星と比べて上りは約22倍、下りは約10倍に高まるという。
今回打ち上げる26基が稼働すれば、衛星群全体の総通信容量は26Tbps分上積みされる。SpaceXによると、これはFalcon 9でV2 mini衛星を1回打ち上げた場合の約10倍の容量に相当する。
今後は、最大積載重量100トンのStarshipを活用し、1回の打ち上げで最大60基のStarlink V3を投入する計画も示している。
Starlinkは現在、専用アンテナを用いた法人・個人向けの衛星通信サービスとして提供されている。専用端末はルーター機能やWi-Fi機能を備え、バッテリー給電にも対応する。このため、光回線が未整備の地域のほか、移動中や災害時の通信手段として利用が広がっている。
Starlink V3によって通信速度の向上とコスト低減が進めば、家庭向けインターネット回線としての利用拡大につながる可能性がある。
また、Starlink V3で採用した技術は、今後打ち上げ予定の「Starlink Mobile」第2世代(Gen 2)衛星にも適用される。この衛星は地上のスマートフォンと直接通信し、5G水準の通信速度を実現するのが特徴だという。
KDDIとNTTドコモはすでにSpaceX子会社と契約を結んでおり、今後1〜2年以内に高速データ通信と音声通話サービスを提供する方針を示している。