米上院でClarity法案が否決されたが、これを受けてもビットコインを中心とする暗号資産相場の強気基調は崩れにくいとの見方が出ている。Bitwiseの最高投資責任者(CIO)、マット・ホーガン氏が16日付のメモで示した。CoinPostが17日伝えた。
Clarity法案は上院採決で可決に必要な60票に届かず、賛成49票で否決された。民主党議員は全員が反対し、共和党からも一部で離反が出た。
ただ、ホーガン氏は、今回の法案否決が7月以降続く暗号資産の上昇基調を止める公算は小さいとみる。少なくともビットコイン相場に関しては、法案成立への期待が今回の上昇局面の主因だったとは言い難いというのが同氏の見立てだ。
同氏は、ビットコイン価格とClarity法案の成立確率を並べたチャートを示し、両者が逆方向に推移していたと指摘した。ビットコインは7月1日に5万7950ドルの安値を付けた後、9月4日には8万ドルを上回った。一方、予測市場Polymarketでみた法案成立確率は同じ期間に39%から18%へ低下した。ホーガン氏は、こうした動きを踏まえ、法案可決期待が相場上昇を支えたわけではないと分析した。
金融業界でも、立法の行方を待たずに暗号資産事業を拡大する動きが出ている。Robinhoodは独自ブロックチェーンの展開に着手し、Morgan Stanleyはソラナの現物ETFを投入した。米預託決済機関DTCCもトークン化株式の決済を開始した。ホーガン氏は、SECとCFTCが2029年まで暗号資産に前向きな姿勢を維持するとの見方が、こうした参入を後押ししていると説明した。
市場の関心は、議会審議そのものよりも規制当局の制度設計に移りつつある。Bernsteinでゴータム・チュガニ氏が率いるアナリストチームは、今後はSECとCFTCが規制設計の主導権を握るとみている。
論点としては、トークンの分類、DeFiやセルフカストディに関する保護の枠組み、株式トークン化のルール整備などが挙がる。両当局はこうした個別テーマで、より迅速かつ積極的に対応できるとの見方もある。加えて、実物資産担保型の無期限先物の承認加速や、単一株式を対象とする無期限先物を巡る協調の余地も指摘された。
法案に対する市場の期待はすでに大きく後退していた。Polymarketでは、2026年内に法案が成立する確率は2月時点の82%から、採決直前には16%まで低下していた。上院で否決された後も、市場は直ちに構造変化を織り込むというより、当局主導の詳細ルール整備を重視し始めていることがうかがえる。
規制当局トップも、立法の不調とは切り離して政策を進める姿勢を示した。ポール・アトキンスSEC委員長は、Clarity法案の推進に尽力した行政府、議会、投資家、イノベーターに謝意を示した上で、米国の主導的地位への確信は揺るがないと述べた。その上で、立法の有無にかかわらず、SECの法定権限の範囲内で行動すると強調した。
CFTCのセリグ委員長も、上院の採決結果には失望を示しつつ、米国民は規制の明確性と法的確実性、消費者保護を享受すべきだと表明した。既存の法定権限を活用し、米国を暗号資産の中心地として維持しながら、市場構造に関するルール整備を進める考えを示した。
当面の注目点は、法案の再浮上そのものではなく、SECとCFTCがどのような詳細ルールを打ち出すかに移る見通しだ。ビットコインの強気相場が立法期待だけに依存していないことが改めて示されたことで、今後は資金の流れや事業者の動きが、当局の後続対応により敏感に反応する可能性がある。