クラリティ法案は上院で前進できなかったが、SECとCFTCによる規則整備の加速に関心が集まっている。写真=Shutterstock

米上院で暗号資産市場の包括的な規制枠組みを定める「クラリティ法案」が討論終結に必要な賛成を確保できず、法案審議は足踏みとなった。これを受け、市場では米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)が個別ルールの整備を急ぎ、立法の空白を補うとの見方が強まっている。

16日付のCointelegraphによると、投資銀行Bernsteinは、法案協議に費やした時間を埋め合わせるかたちで、SECとCFTCが規則策定を「積極的かつ迅速に」進める可能性があると分析した。

焦点は、議会立法の遅れを行政ルールでどこまで補えるかに移っている。Bernsteinのアナリストは、新たな規則の論点として、資金調達目的のトークン分類ルール、分散型金融(DeFi)やセルフカストディ関連プロトコルを巡る開発者保護措置、株式トークン化に関するイノベーション例外、RWA関連の無期限先物の承認期間短縮、連邦レベルのスポーツイベント契約に関するスワップ分類ルールの見直しを挙げた。

Bernsteinは、規制当局がクラリティ法案の交渉で失われた時間を取り戻すため、追加ルールを打ち出すとみている。こうした措置は業界に一定の規制明確性をもたらす可能性がある一方、クラリティ法案のように、政権交代時の政策変更リスクまで抑え込む制度的安定性を確保するのは難しいとも指摘した。

クラリティ法案は、米国で初めて暗号資産の包括的な規制枠組みを整備する法案として注目されていたが、15日に上院で討論終結動議が不成立となった。Bernsteinは、上院日程が詰まっているうえ、法案の倫理条項を巡る懸念も残っているとして、再採決の可能性は低いとみる。市場の関心は議会での立法作業より、SECとCFTCによる個別ルール策定の行方に移りつつあるという。

SECはすでに別枠でルール整備に着手している。8月19日には、暗号資産を含む一部の投資契約について、「明確で目的に即したフレームワーク」を構築する新規則を提案した。投資家保護を維持しながら資金調達を認める内容で、暗号資産企業向けには、4年間で最大500万ドル、12カ月で最大7500万ドルのトークン発行に関する例外措置を示した。あわせて、特定の暗号資産を投資契約と見なさないセーフハーバー条項も盛り込んだ。

SEC側も、立法の停滞を見据えた発信をすでに行っている。ポール・アトキンスSEC委員長は7月27日のCNBCとのインタビューで、上院がクラリティ法案を可決できない場合でも、暗号資産関連の規則を打ち出す用意があると述べた。

今回の争点は、議会が整備できなかった基準線を規制当局がどこまで代替できるかにある。立法は権限配分の明確化と法的安定性を提供できる一方、当局によるルール策定は比較的迅速に進めやすい。今後、市場ではトークン分類の基準、DeFi開発者保護の範囲、トークン化商品やデリバティブ商品の承認手続きが、実際のルールとしてどこまで具体化されるかが注目点となりそうだ。

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