国会予算政策処は17日、2027年1月のデジタル資産所得課税の開始を前に、国内取引所の利用を促す優遇策と、取引所データに連動した自動計算・申告インフラの整備が必要だとする報告書を公表した。海外取引所や個人ウォレット、店頭取引では税務当局が取引履歴を把握しにくく、課税開始前に税源の捕捉体制と納税インフラを補う必要があると指摘した。
報告書は、主な課題として税源管理の強化、申告・納付インフラの構築、取引類型ごとの課税基準の明確化を挙げた。
デジタル資産所得課税は、2020年12月の所得税法改正で導入された。その後3度の延期を経て、2027年1月1日以降の譲渡・貸与分から施行される予定だ。
現行制度では、デジタル資産の譲渡・貸与で生じた所得をその他所得として分離課税する。年間の所得金額から250万ウォンを控除したうえで、超過分に20%の税率を適用する。地方所得税を含めた実効税率は22%となる。
同一課税期間内の損益通算は認められるが、純損失を翌年以降に繰り越して控除することはできない。
予算政策処は、課税開始に向けた最大の課題の一つとして税源把握を挙げた。国内のデジタル資産事業者には取引履歴の提出義務がある一方、分散型取引や個人ウォレットを利用した店頭取引では、提出主体の特定や実質所有者の確認が難しい可能性があるためだ。
海外取引所についても、国内の税務当局に取引履歴を直接提出する義務がなく、課税の死角になり得るとした。
2027年からは、経済協力開発機構(OECD)の暗号資産報告枠組み(CARF)に基づく国際的な取引情報の自動交換が始まる。ただ、参加国によって導入時期は異なる。
韓国は46の国・地域とともに2027年に初回の情報交換を開始する予定だが、カナダ、スイス、シンガポール、香港は2028年、米国は2029年の参加が見込まれている。
このため予算政策処は、国税庁によるデジタル資産取引の追跡・検証能力を高めるとともに、店頭取引やCARF未実施国の海外取引所を利用する投資家に自主申告を促す仕組みが必要だと提言した。
あわせて、国内取引所の利用に実質的なメリットを持たせる案も検討課題として示した。日本では、登録取引所を通じたデジタル資産所得に20%の分離課税と3年間の損失繰越控除を適用する制度の導入が進められている。
一方で、海外取引所などを通じた取引には最大55%の累進課税を適用し、損失の繰越控除は認めない案が示されている。予算政策処は、こうした仕組みが国内取引所の利用を促し、取引履歴の把握を容易にする可能性があると説明した。
納税者の申告負担を軽減するシステム整備の必要性も指摘した。デジタル資産は同一資産が複数の取引所やウォレットを経由して繰り返し取得・移転されるため、個人が取得価額と取引履歴を確認し、損益を算出するのは容易ではないためだ。
予算政策処は、国内取引所と課税システムを連携させ、取得価額や損益を自動計算し、申告まで支援できる基盤を整備すべきだとした。
国税庁は7月、デジタル資産総括課を新設した。年末までに、取引資料などを分析する「暗号資産統合分析システム」の構築を完了する計画だ。
報告書はこのほか、ステーキング、レンディング、ハードフォーク、エアドロップといった多様な取引形態ごとの課税基準を明確にすべきだと指摘した。現行の所得税法は、デジタル資産の譲渡と貸与で発生する所得を課税対象としているが、こうした取引で得られる収益の課税時点や所得区分を巡る解釈は、なお明確ではないという。
予算政策処は「課税開始までに税務当局は、告示や例規などの行政解釈や、よくある質問(FAQ)を活用し、具体的な解釈基準を整えて納税者に周知する必要がある」とした。