米上院で暗号資産規制法案「CLARITY Act」の審議入りに向けた手続きが頓挫し、関連銘柄の中ではCoinbaseが最も大きな不透明感にさらされているとの見方が出ている。デンマークのSaxo Bankが指摘した。
Cointelegraphが16日に報じたところによると、Saxo Bankは、米国の暗号資産市場を巡る制度設計がCoinbaseの事業モデルに直結していると分析した。
Saxo Bankのストラテジスト、ルーベン・ダルフォボ氏は、CLARITY Actの行方が最も直接的に響くのはCoinbaseだと説明した。登録要件や取扱可能な資産の範囲、さらに米暗号資産市場への参入条件など、市場ルールの明確化が取引所事業の収益基盤に直結するためだ。
市場も敏感に反応した。米上院は15日、CLARITY Actの審議入りに必要な討論終結動議を可決できなかった。これを受け、Coinbase、Circle、Strategyの株価はいずれも5~10%下落。16日の取引開始後も3銘柄は2~6%の下げとなった。
もっとも、法案の遅れが各社に与える影響の度合いは一様ではない。ダルフォボ氏は、CircleについてはUSDCの普及拡大や準備金運用に伴う利息収入との連動性がより大きいと指摘した。Strategyは、ビットコイン保有規模と資金調達構造が業績や株価の方向性を左右する色合いが強いという。関連株に売りは広がったものの、法案遅延の直接的な影響が最も明確なのはCoinbaseだとしている。
上院採決は僅差で否決された。上院は法案審議に進む前提となる討論終結動議を可決できず、必要な60票を大きく下回った。この動議が通れば追加討論を制限し、本格審議に移行できたが、今回はその段階で止まった。
争点となったのは、公職者による暗号資産を巡る利害関係に関する倫理条項だった。上院は採決直前に譲歩案を示したが、反対意見の解消には至らなかった。市場では、これによってCLARITY Actの年内成立余地が一段と狭まったとの見方が出ている。
今後の日程もタイトだ。米議会は11月3日の中間選挙を控えて立法日程が限られており、12月18日の休会を予定している。現会期中に法案を再浮上させるための時間は多くない。
こうした中、市場が重視しているのは暗号資産価格そのものより、米国の制度整備のスケジュールが再び揺らいだ点だ。Coinbaseのように米市場ルールの明確化が事業環境に直結する企業は、法案審議の進展次第で先行きが大きく左右される。一方、Circleはステーブルコイン普及、Strategyはビットコイン保有と資金調達構造という別の要因の比重が大きい。
今回の採決否決で暗号資産関連株への売り圧力は強まったが、打撃の性質は各社で異なる。なかでもCoinbaseは、米市場ルールの明確化そのものが中核事業と結び付いているだけに、CLARITY Act再始動の有無が今後の株価と事業環境を左右する主要な変数として意識されそうだ。