人工知能(AI)の安全性を巡る議論が強まる中でも、企業のAI支出は大きく鈍らない――。CNBCが16日(現地時間)に報じたところによると、ジム・クレーマー氏はこうした見方を示し、データセンター関連銘柄への強気姿勢を維持した。
クレーマー氏は、サンフランシスコで開かれたSalesforceの年次イベント「Dreamforce」で主要AI企業の経営陣と対話した結果、AI支出は引き続き高水準で続く可能性が高いとみている。高性能モデルの開発ペースが速すぎるのではないかとの議論は広がっているものの、実際の投資は簡単には止まらないとの認識を示した。
この議論の発端となったのは、Anthropicの最高経営責任者(CEO)ダリオ・アモデイ氏の主張だ。アモデイ氏は週末に公表した文章で、最前線のAI研究所は安全対策が追いつく時間を確保するため、モデル開発の速度を落とすべきだと訴えた。AI業界では、開発競争と安全性への懸念の対立が一段と鮮明になっている。
一方、クレーマー氏は収益面を重視する。AnthropicとOpenAIが大規模投資を追い風に売上を伸ばしていることを挙げ、「支出は引き続き速いペースで続く」との見方を示した。両社が中核事業の歩みを止めることはなく、「ここで止まるには、すでに投じた資金が大きすぎる」とも語った。
こうした見方は、AIインフラ全般にも及ぶ。クレーマー氏は、Fedを巡る市場の動揺が落ち着けば、データセンター向け部品を手がける企業が改めて見直し買いの対象になる可能性があると指摘した。AIモデルの開発競争が続く限り、サーバーやネットワーク、ストレージを含むデータセンターのエコシステム全体で需要は維持されるとの判断だ。
もっとも、クレーマー氏は安全性への懸念自体を否定しているわけではない。アモデイ氏が示したリスクは認めた上で、追加の安全対策が必要になる可能性にも言及した。ただ、それでもAI支出の流れそのものを止めるほどではないとみている。
また、AIの普及が周辺技術への需要を押し上げる可能性にも触れた。性能が向上したAIエージェントはサイバーセキュリティ需要を刺激し得るとし、「Palo Alto、Okta、CrowdStrikeなどは攻撃者より一歩先を行く必要がある」と説明。「歴史的に見ても、こうした分野は比較的堅実な投資先だった」と述べた。
Dreamforceの会場で感じた業界の空気も、こうした認識と一致していたという。クレーマー氏は複数の経営陣に対し、AIの長期リスクに今から備える必要があるかを直接尋ねたと説明した。その上で、「問題を修正する時間はまだ少し残されていると感じた」としつつ、「何が起きても修正しなければならない」と語った。
今回の発言は、AI安全規制を巡る論争が広がる局面でも、市場の関心が開発停止の是非より、AI支出の継続とインフラ需要の持続に向いていることを示している。あわせて、AI開発競争が続くほど、データセンターとサイバーセキュリティが一体で注目される構図も改めて浮かび上がった。