Coinbaseは、有料会員サービス「Coinbase One」加入者向けのUSDC報酬金利を3.75%に引き上げた。米上院でClarity法案の審議入り手続きが否決された直後の措置であり、ステーブルコイン報酬を巡る規制論議との関係に市場の関心が集まっている。
17日、ブロックチェーンメディアのCoinPostによると、Coinbaseは「Coinbase One」会員を対象とするUSDC報酬金利を3.75%へ引き上げた。
USDC報酬は保有残高に応じて日次で計算され、最低1ドル相当のUSDCを保有していれば適用対象となる。Coinbase Oneは月額または年額の会費を支払う有料サービスで、取引手数料の優遇に加え、USDC報酬などの会員限定特典を提供している。
今回の引き上げで注目されているのは、そのタイミングだ。米上院は16日、Clarity法案の審議入りに向けた手続き採決を実施したが、賛成49票、反対50票で、可決に必要な60票に届かなかった。
Clarity法案には、米国内の暗号資産市場に関する規制枠組みの明確化に加え、ステーブルコイン発行体や関連サービスが利用者に提供する報酬に一定の制限を設ける内容も盛り込まれていた。
とりわけ銀行業界は、ステーブルコイン報酬が実質的に銀行預金と競合しかねないとして、規制強化を求めてきた。一方、暗号資産業界では、利用者向け報酬を制限すれば関連サービスの競争力が損なわれるとの反論が出ていた。
こうした状況のなか、Coinbaseが法案採決の直後にUSDC報酬金利を引き上げたことから、業界内では規制論議を意識したメッセージではないかとの見方も浮上している。関係者の1人は、銀行業界を意識した「風刺」に近いとの受け止めを示した。
もっとも、Coinbaseが今回の引き上げについて、Clarity法案の否決を受けた直接的な対応だと明言したわけではない。あくまでCoinbase Oneの会員特典見直しの一環として実施された可能性もあり、法案審議との直接的な結び付きを断定することはできない。
上院採決では民主党議員の反対が目立った一方、共和党からも4人が反対に回った。このうちジョシュ・ホーリー氏とジェリー・モラン氏は、地域銀行業界が求めてきたステーブルコイン報酬規制の強化を考慮したと伝えられている。
Clarity法案が審議入りのハードルを越えられなかったことで、今後のステーブルコイン報酬規制を巡る議論も不透明感を残した。再協議が行われる場合、銀行業界の要望と暗号資産業界の立場をどう調整するかが焦点となる。
CoinbaseにとってUSDC報酬の拡充は、有料会員の獲得策であると同時に、ステーブルコイン利用の拡大につながる可能性がある。今後、規制論議が再び動き出せば、ステーブルコイン報酬をどの水準まで認めるかが主要争点の1つになりそうだ。