Huaweiは16日、2035年には世界の年次AIトークン消費が現状の10万倍に拡大し、その9割超を自律型のAIエージェントが占めるとの見通しを示した。AIエージェントの普及に伴い、計算資源や通信インフラの需要も大幅に増えるとみており、対応に向けて「SuperPoD」を含む10の技術方向性を提示した。
同社が同日公表した報告書「Intelligent World 2035: Turning Vision into Action」で明らかにした。報告書は、オンラインイベント「Act now. Build the future」で公開され、併せて「Global Digitalization and Intelligence Index 2026」も発表された。
トークンは、AIモデルが入力や生成の過程で扱う情報の最小単位を指す。Huaweiは、AIエージェントが従来のアプリ中心の利用形態と異なり、環境を継続的に認識しながら推論と意思決定を重ね、必要に応じて外部ツールも利用するため、トークン消費の頻度が大幅に高まると分析した。
この結果、2035年の世界の年次トークン消費は現状の10万倍に増え、その9割超をAIエージェントが占めると予測した。AIエージェントを前提とするネット環境は、従来のアプリ中心のインターネットとは異なる形で、計算資源と通信需要を押し上げるとしている。
Huaweiはまた、2035年には世界で約9000億のAIエージェントが稼働するとも見込む。これは、2035年時点の世界人口の想定値の約100倍に相当する規模だという。
こうしたAIエージェントの大規模な普及を支えるため、同社は10の中核技術の方向性も示した。計算クラスタの規模を100倍に拡大すると同時に、エージェントのタスク当たりコストを1000分の1に引き下げる必要があるとした。
実現に向けては、単純なチップ性能の向上だけでは不十分で、「SuperPoD」のような計算システムへの進化が必要だと説明した。主な課題として、ストレージとメモリ、エージェント向けOS、インテリジェント接続、チップ設計、インテリジェント制御、AIデータセンターの電力・冷却、セキュリティとプライバシー保護などを挙げた。
こうした見通しは、AI開発のスピードを巡る米国での議論とも対照的だ。米国では一部の研究者やテック業界の経営層が、予測困難なAIエージェントの挙動や機器の自律制御、資源確保の問題などを理由に、先端AIの開発ペースを抑えるべきだと主張してきた。
一方、HuaweiはAIエージェントの拡大を前提に、安全性と制御性を確保する技術開発に軸足を置く。AIエージェントを活用したセキュリティ関連技術の開発も進めているという。
4月には、セキュリティ運用センター(SOC)向けの自律型プラットフォームを投入した。監視や対応を担うエージェントを活用し、サイバー脅威の検知から対処までを行う設計としている。
経営陣もAIインフラ拡大に前向きな姿勢を示している。グオ・ピン(Guo Ping)Huawei監査役会主席は、AIを同社にとって最大の機会と位置付け、中国において同社の計算インフラがNVIDIAのような役割を担うべきだと述べた。
デイビッド・ワン(David Wang)Huawei取締役会副会長兼輪番会長は、エージェント型AIが今後の変化の中核になると指摘した上で、方向性は明確だが、現実のものとするには具体的な実行が必要だと語った。
Huaweiは、AIがソフトウェアの枠を超えて物理世界へ広がることも、AGIに向かう中核段階と位置付ける。物理世界と相互作用するAIが、環境を認識し、判断し、行動できるようになって初めて、複雑な作業をこなすAGIへ発展できるとの考えだ。
併せて公表した「Global Digitalization and Intelligence Index 2026」では、90カ国のデジタル化・知能化の水準を分析した。今後5年間で、AIが累積で27兆ドル超の経済価値を生み出すと予測している。