チャールズ・ホスキンソン氏のイメージ画像。画像=Reve AI

米上院は、暗号資産市場の構造を定める「クラリティ法案」の審議入りに必要な60票を確保できなかった。Cardanoのチャールズ・ホスキンソン氏は今回の結果について、「予想通りだ」との認識を示し、法案設計と超党派調整の不十分さが否決の背景にあると指摘した。

ブロックチェーンメディア「The Crypto Basic」が16日に報じた。上院は15日の手続き採決で、審議入りに必要な60票に届かなかった。民主党が全員反対し、共和党からも4人が反対に回ったため、法案は次の段階に進めなかった。ホスキンソン氏は採決後、Xへの投稿で「予想通りだ」と反応した。

同氏は数日前の時点で、法案が行き詰まる可能性に言及していた。暗号資産業界が著名人関連トークンやミームコイン、投機的取引との結び付きで注目されるなか、包括的な暗号資産立法を押し切るだけの政治的な追い風は乏しいとの見方を示していた。

その後のライブ配信で同氏は、否決の背景をさらに詳しく説明した。最大の問題は、議会があまりに多くの規制論点を一つの包括法案に盛り込もうとした一方で、審議入り前に必要な超党派合意を十分に固められなかった点だとした。

比較対象として、同氏はワイオミング州で立法に関与した経験にも触れた。幹細胞自由法を例に挙げ、最終段階に進む前に幅広い協議や交渉、関係構築が重ねられ、上下両院を異論なく通過したと説明した。これに対し、クラリティ法案ではそうした事前調整が不足していたと指摘した。

海外の先行事例を十分に参照しなかったことも問題視した。欧州、日本、ベトナム、アブダビ、ドバイ、スイス、ケイマン諸島、英領バージン諸島、クラウン・ディペンデンシーなど、すでに暗号資産の規制枠組みを整えている地域を検討できたとし、とりわけ欧州連合のMiCAとアブダビ・グローバル・マーケット(ADGM)の枠組みは確認すべきだったと述べた。先行地域で実際に運用されている規制モデルを参照していれば、制度設計の選択肢はより明確になったはずだという。

法案の組み立て方にも疑問を呈した。ステーブルコイン、デジタル証券、商品、カストディ、課税、分散型金融(DeFi)といった論点を一つの法案に詰め込むのではなく、個別に扱うべきだったと主張した。論点を切り分ければ、分野ごとの規制課題を整理しやすくなり、項目別の超党派合意も形成しやすくなると説明した。

規制上の定義が曖昧な点も主要な課題として挙げた。デジタル証券をより明確に定義する必要があり、既存の証券法についても現代的なアプローチで見直す余地があると述べた。暗号資産を一律に商品として分類するのではなく、デジタル資産の類型ごとの差異を明確にしたうえで、各カテゴリーにどの規制体系を適用するのかを先に定めるべきだったとしている。

監督当局の執行能力にも疑問を投げかけた。ホスキンソン氏は、米商品先物取引委員会(CFTC)が将来的に数兆ドル規模へ膨らむ可能性のある暗号資産市場を監督するために、十分な人員、権限、資源を備えているのか疑わしいと述べた。規制権限の分担が曖昧なまま包括法案を進めたことが、かえって重荷になったとの見方だ。

政治面の要因も見過ごせないとした。同氏は、立法の全過程で超党派の支持を維持することが重要だったと強調。その一方で、行政府関係者が関わる暗号資産活動を巡る政治的・倫理的論争が重なり、合意形成をさらに難しくしたとの認識を示した。

ホスキンソン氏の見立てでは、クラリティ法案は複雑な規制課題を一度に処理しようとした結果、合意形成や事前協議、定義の整理が不十分なまま上院の壁を越えられなかったことになる。

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