欧州で電池がエネルギー、産業、防衛を支える戦略技術として位置付けられる一方、主要投入材の域外依存が高く、サプライチェーン強化が急務になっている。欧州の産業・エネルギー関連団体で構成するBackbone Coalitionは16日、こうした課題を指摘する報告書を公表した。
EV専門メディアのCleanTechnicaによると、報告書は欧州の電池産業が抱える構造的な脆弱性を挙げたうえで、対応の方向性を示した。
それによると、電池はもはやEV向けにとどまる技術ではない。電力網の安定化、産業の電化、データセンター、防衛システムなどへ用途が広がっており、経済と安全保障を支える戦略基盤になっているという。
一方で、生産基盤の弱さが課題として浮上している。欧州では公的資金の支援を背景に電池の導入が急速に進む半面、主要投入材の域内生産は需要を大きく下回っている。特定の海外サプライチェーンへの依存が続けば、地政学的対立や供給途絶の影響を受けやすくなると分析した。
Backbone Coalitionは、すべての生産工程を欧州域内に戻す完全な域内完結を目指すよりも、域内生産と信頼できる同盟国の供給網を組み合わせる戦略が現実的だと主張した。
そのうえで、欧州連合(EU)に対し、今後3年間で電池産業への支援を迅速に拡大するよう求めた。実際の生産実績に連動する予見可能な支援によって民間投資を呼び込み、公的調達や域内生産品の優遇策を通じて安定需要を確保すべきだとしている。
支援対象についても、電池セルの生産に限定すべきではないとした。主要素材の加工・リサイクル、製造装置、次世代電池の研究開発まで含め、バリューチェーン全体を支える必要があると提言した。あわせて、海外の補助金や過剰生産に対応する通商面の防衛措置や、防衛向け電池のサプライチェーンに関する安全基準の強化も求めた。
報告書は、欧州が研究開発力、産業面の知見、大規模な域内市場をすでに備えていると評価する一方、それを競争力のある生産基盤につなげられなければ、資本、技術、人材の流出を招きかねないと警告している。