中国のAIチップ企業MetaX(688802.SH)で、約1400万株のロックアップが17日に解除される。直近では同業のムーア・スレッズが解除直後に急落しており、中国AI半導体株全体に利益確定売りが波及するとの警戒感が広がっている。
香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストは16日、MetaXのロックアップ株約1400万株が17日から売却可能になると報じた。
市場が警戒する背景には、ムーア・スレッズの先例がある。同社では先週、約2600万株のロックアップ解除後に株価が20%急落し、上海スターマーケットの値幅制限下限まで下落した。その後も軟調な推移が続き、時価総額は数百億元規模で目減りした。
MetaXでも同様の売りが出るとの見方がある。16日の終値は約478元で、今回解除される解除対象株式の価値は約67億元とみられる。株価は先週だけで22%超下落した。
MetaXとムーア・スレッズは昨年12月に上海スターマーケットへ上場した後、いずれも株価が数倍に上昇し、中国AI半導体の代表銘柄として存在感を高めてきた。Biren Technology、Enflameと並び、AIチップ業界の「四小竜」と呼ばれ、NVIDIAに対抗する中国製GPUの有力開発企業として注目を集めてきた。
一方で、上場初期の投資家に設定されていたロックアップ期間が相次いで満了し、需給環境は変化している。Everbright Securities Internationalのストラテジスト、ケニー・ン氏は、制限株式の解除によってMetaXが「相当な売り圧力にさらされる可能性がある」と指摘した。初期投資家の取得価格が低く、足元で株価が調整した後もなお大きな含み益を確保しているためだ。
MetaXの公募価格は104.66元。16日終値ベースでも公募価格比でなお3.5倍超の水準にあり、ロックアップ解除が利益確定売りのきっかけになり得ることを示している。
もっとも、今回の解除がMetaXの業績悪化や競争力低下を意味するわけではないとの見方もある。ケニー・ン氏は、想定される売り圧力は企業の事業の健全性ではなく、ロックアップ解除という市場構造要因によるものだと分析した。
実際、業績は改善している。MetaXは2026年上期に純利益6億1200万元を計上し、前年同期の純損失1億8600万元から黒字転換した。AIチップ「四小竜」の中で、上期に黒字を確保した初の企業という。
製品面でも開発は進んでいる。Goldman Sachsは最近のリポートで、MetaXが5月に次世代C600プロセッサの量産を開始し、2026年下期から2027年にかけて生産量を段階的に引き上げると予想した。
ムーア・スレッズも業績改善を示している。2026年上期の純損失は1160万元と、前年同期の2億7100万元から大幅に縮小した。
両社は香港市場への上場も進めている。こうした中、MetaXのロックアップ解除は単なる短期的な需給イベントにとどまらず、中国AI半導体の代表銘柄が上場初期の急騰後にどの水準で値固めするのかを見極める試金石となりそうだ。