米下院歳入委員会がデジタル資産の税務明確化法案を可決した。写真=Shutterstock

米下院歳入委員会は16日、デジタル資産の税務上の取り扱いを明確化する法案を賛成38、反対5で可決し、下院本会議に送付した。取引手数料やステーブルコイン、採掘、ステーキング、デジタル資産の貸借を巡る課税ルールを整理する内容だ。

Decryptoなどが報じた。可決されたのは「デジタル資産税務明確化法案」(Digital Asset Tax Certainty Act、H.R.10357)。今後は下院本会議と上院で審議され、成立には上下両院で同一法案が可決された上で、大統領の署名が必要になる。

法案の柱は、デジタル資産取引に伴う課税計算の負担軽減と、税務ルールの具体化にある。一定の要件を満たすネットワーク上で発生する取引手数料、または一定の要件を満たす10ドル以下の手数料については、トークンで支払った場合でも課税上の損益認識を不要とする。現行ではデジタル資産が財産として扱われるため、トークンで手数料を支払った場合でも課税対象となる損益の計算が必要になる可能性がある。

この措置は2028年から適用する。対象は10ドル以下の少額の暗号資産購入全般ではなく、要件を満たす手数料の支払いに限られる。

ドル連動型の適格ステーブルコインについても、課税計算を簡素化する。償還価格に近い水準で取引されるステーブルコインの税務処理を簡略化するほか、採掘やステーキングによる報酬は通常所得として扱う。

一方、一部の採掘・ステーキング報酬について、課税時点を繰り延べる案は最終案から削除された。

投資家向けの規定も見直す。ウォッシュセールルールの適用対象を取引されるデジタル資産に広げ、投資家が資産を売却した前後30日以内に実質的に同一の資産を再取得した場合、損失計上を繰り延べる。

また、一定の要件を満たす暗号資産の貸借は売買とは見なさない。一定の要件を満たす納税者が過去の申告を修正できるよう、デジタル資産に関する自主開示プログラムを設ける内容も盛り込んだ。

このほか、既存税法上の一部セーフハーバーをデジタル資産にも適用し、デジタル資産ディーラーやトレーダーが時価評価会計を利用できるようにするなど、既存の金融資産に近い課税枠組みを整えるとしている。

米下院歳入委員長のジェイソン・スミス氏は、この法案について「1年以上にわたる超党派の議論と協力の成果」と説明した。デジタル資産を巡る税務上の不確実性や納税者負担を抑え、従来の金融資産との課税上の公平性を高める狙いがあるという。

今回の税制法案の前進は、デジタル資産市場の規制枠組みを巡る別法案「クラリティ法案」が上院で進展しなかった直後に続いた。米上院は15日、同法案の本会議審議入りに向けた手続きを採決したが、賛成49、反対50で否決された。

クラリティ法案は、デジタル資産市場に対する連邦規制の枠組みを整備し、証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の役割分担を定める内容を含む。

同法案が上院で足踏みした後、SECとCFTCは、議会での立法の有無にかかわらず、既存権限を活用して暗号資産規制を進める方針を示した。

米議会では、デジタル資産を巡る制度整備が市場規制と税制の両面で進んでいる。ただ、税制法案は委員会段階を通過したにすぎず、成立までには下院本会議、上院審議、大統領署名といった手続きが残っている。今後の立法プロセスが焦点となる。

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