「Luna」はカメラを省いたスマートグラスになる見通し。写真=Shutterstock

Metaが、カメラを搭載しないスマートグラス新製品「Luna」を開発していることが分かった。早ければ10月にも投入する可能性がある。カメラ付きスマートグラスを巡るプライバシー懸念が強まる中、音声ベースのAI機能を軸にした製品として投入する見通しだ。

海外メディアの報道によると、Metaは社内で「Luna」のコードネームを付けたカメラ非搭載モデルを開発中という。9月23~24日に米カリフォルニア州メンロパークで開催される年次開発者会議「Connect」で公開し、10月から出荷する案を検討しているとされる。フレームは「Clubmaster」と「Burbank」の2種類で展開する見込みだ。

Lunaは、既存のRay-Ban Metaスマートグラスと異なり、カメラを備えない。マイクを6基内蔵し、Meta AIのほか、Metaの消費者向けAIエージェント「Muse」に音声でアクセスできる設計になるという。

本体側面のボタンからMeta AIをすばやく起動でき、スピーカー形状は既存のMetaスマートグラスに近い仕様を採用する見通しだ。カメラを省いたことで、テンプルも従来モデルより薄くなり、一般的な眼鏡に近いデザインになると報じられている。

Metaがカメラを外す背景には、既存製品を巡るプライバシー問題がある。カメラ搭載のRay-Ban Metaスマートグラスでは、本人の同意なく撮影した映像をオンラインで共有する事例が相次ぎ、ネット上では侮蔑的な呼称で呼ばれるケースもあったとされる。

1月には、女性が無断で撮影され、その動画がTikTokに投稿された事例が報じられた。2月には、ケニア拠点の委託先企業の従業員が、スマートグラスで撮影されたトイレ利用や性行為などの機微な映像を審査していたことも明らかになったという。

こうした問題は法的・政策面にも広がっている。集団訴訟やテキサス州司法長官による調査が進むほか、米国自由人権協会が主導する連合体はMetaの顔認識計画に異議を唱えた。カメラ搭載スマートグラスによる隠し撮りの可能性を懸念し、一部の公共機関や施設で警戒が強まる動きも出ている。

Lunaはカメラ自体をなくすことで、こうした懸念の主因を製品設計の段階で取り除く狙いがある。周囲の人物を隠し撮りしたり、写真や動画を記録したりする機能は搭載しない見通しだ。

一方で、既存のRay-Ban Metaスマートグラスの主力機能である、一人称視点での写真・動画撮影や、カメラで周囲の状況を認識する機能は利用できない。

Lunaは、カメラを省く代わりに、音楽再生やAI音声アシスタント機能を前面に打ち出す製品になりそうだ。もっとも、マイクを通じて音声を収集する以上、新たな個人情報保護上の論点が浮上する可能性は残る。

Metaがカメラ非搭載モデルを別ラインとして投入するのは、カメラ付きスマートグラスに抵抗感を持つ消費者層まで取り込み、市場の裾野を広げる狙いがあるとの見方も出ている。

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