16日、米国のビットコイン現物ETFから4億5040万ドル(約676億円)が純流出した。6月24日以来の大幅な流出となった。米上院でデジタル資産市場構造法案「Clarity法案」の審議入りに向けた終結動議が否決され、規制明確化の遅れへの懸念が市場心理を冷やした。Decryptが報じた。
同日には、イーサリアムETFも1億4230万ドル(約213億円)の純流出となった。一方、XRP関連ファンドの資金フローはほぼ横ばいだった。上院ではClarity法案を本格審議に進めるための終結動議が採決され、結果は賛成49、反対50。可決に必要な60票に届かず、法案審議は前進しなかった。これにより、2026年内の成立可能性も大きく後退した。
流出は主要運用会社の商品に広がった。FidelityのFBTCは2億1480万ドル(約322億円)の純流出で最大。BlackRockのIBITは1億6170万ドル(約243億円)、GrayscaleのGBTCは4410万ドル(約66億円)の純流出だった。Ark 21SharesとBitwiseの商品からも比較的小幅ながら資金流出が続いた。
イーサリアムETFの弱さも目立った。16日の純流出額は1億4230万ドルだった。XRP関連ファンドは、前日に1130万ドル(約17億円)の流入を記録した後、この日はほぼ動きがなかった。3資産の合計では、純流出額は約5億9300万ドル(約890億円)に達し、6月以降の暗号資産ETF市場で最大級の単日流出となった。
今回の市場の重しとなったのは、ハッキングや相場急落ではなく、法案審議の停滞だった。エリザベス・ウォーレン上院議員は本会議で、同法案が「暗号資産が引き起こす経済崩壊」につながりかねないとして反対を表明した。これに対し、法案協議を主導してきたシンシア・ルミス上院議員は採決直前に「終わった」と述べ、事実上の頓挫を認めた。その後、採決結果が明らかになると、民主党を強く批判した。
Clarity法案は、米国の暗号資産市場に包括的なルールを初めて導入することを柱としていた。証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)が監督権限を分担し、米国内の大半の暗号資産取引に関する法的枠組みを整理する内容とされていた。法案の停滞によって、機関投資家がビットコインを一般的な金融商品として扱ううえでの規制の明確化も、改めて先送りされる公算が大きくなった。
もっとも、立法論議が完全に終わったわけではない。暗号資産業界団体のDigital Chamberは、今回の結果を敗北ではなく「後退」と位置付けた。上院日程では、中間選挙モードが本格化するまでおよそ22営業日が残っており、土壇場で再び審議が動く可能性も残されている。
法案が復活しない場合、米国の暗号資産市場は当面、議会立法ではなく規制当局によるルール整備に依存する展開となる可能性が高い。スコット・ベセント財務長官もすでに、SECとCFTCによる規則策定を代替ルートとして挙げている。2026年の残り期間は、議会の動向以上に、規制当局の対応が米暗号資産市場の規制環境を左右しそうだ。