米国でAIデータセンターの建設ラッシュが続くなか、電力供給の不足が新規案件拡大の大きな制約となっている。データセンターの建設は急速に進む一方、発電設備や送電網の整備は追いついておらず、追加投資の必要性が強まっている。
TechRadarが16日付で報じたところによると、国際格付け会社のMoody'sは、米国のデータセンター向け電力需要を賄うには、新規発電設備に約1100億ドル(約16兆5000億円)の投資が必要だと試算した。米国のデータセンターの年間消費電力量は、2030年に426テラワット時(TWh)へ達する見通しという。
ボトルネックは、電力インフラ整備の遅れだ。データセンターは比較的短期間で建設できるのに対し、発電所や送電網は許認可手続きや設備調達、サプライチェーンの制約などで整備が遅れている。電力関連プロジェクトでは、最大で7年遅れるケースもあるという。
Moody'sは、発電設備の増強だけでは電力不足の解消は難しいと指摘した。データセンターが集積する地域へ安定的に電力を送るには、送電網への投資を並行して進める必要があるとしている。送電網の拡充は、域外で発電した比較的安価な電力を地方部へ送るうえでも有効だとみている。
電力需給の逼迫懸念が強まるなか、一部地域では関連ルールの見直しを進めるため、新規データセンター事業を一時停止する動きも出ている。カナダのサスカチュワン州は、大規模データセンター事業者に独自の電源確保を求める政策を導入した。
電気料金の負担も争点になっている。ドナルド・トランプ米大統領は、データセンター拡大に伴う電力コストが一般消費者に転嫁されないよう、電気料金負担者の保護を掲げた誓約を推進している。
Moody'sは、データセンター事業者も送電網の拡充に積極的に関与しなければ、施設の計画通りの完成は難しくなると強調した。AIインフラ競争の焦点は、半導体やサーバーの確保にとどまらず、安定した電力供給体制の確保へと広がっている。