米商品先物取引委員会(CFTC)のマイケル・セリック委員長は16日、暗号資産関連法案が上院で停滞するなかでも、既存の法的権限を使って規制の枠組み整備を進める考えを示した。議会立法の行方が不透明となるなか、当局主導で市場ルールづくりを前に進める姿勢を鮮明にした格好だ。
ブロックチェーン関連メディアのU.Todayが同日、この発言を報じた。
セリック氏は、CFTCが「新たな金融フロンティア」に対応するルール提示の準備を終えたと説明した。発言は、米上院でクラリティ法の進展が止まった直後に出た。
上院での採決は50対49だった。ホワイトハウスと関係があるブロックチェーンプロジェクトを巡る利益相反への懸念を示した民主党側の反発に加え、ステーブルコインの収益構造に問題提起した銀行業界のロビー活動もあり、法案は前進できなかった。これにより、業界は連邦レベルの明確な立法根拠を得られなかった。
市場はすぐに反応した。ビットコインは7万6000ドルを下回り、Coinbase株は8%、Circle株は11%それぞれ下落した。
こうした動きを受け、セリック氏は代替ルートとして規制当局の対応を前面に打ち出した。「上院の採決結果は残念だ」とした上で、「米国民は暗号資産市場において、規制の明確性、法的確実性、消費者保護を享受する権利がある」と述べた。
そのうえで、議会の膠着を待たずに対応する方針を明確にした。「行政府は、いかなる形であれ、将来を見据えた暗号資産市場の規制の枠組みを提供すると約束した」とし、「私たちは既存の法的権限を活用し、その実現を支援する」と説明した。
さらに「米国は世界の暗号資産の首都であり、今後もその地位を維持する」と強調した。
この発言を受け、市場の関心は上院での法案審議から、CFTCと米証券取引委員会(SEC)が打ち出す具体策へと移りつつある。当局が詳細ルールを比較的早期に整備するとの見方も出ており、規制の空白が長期化する可能性は低いとの受け止めが広がっている。
とりわけ注目されているのは、議会で協議されていた妥協案に含まれていた制約を伴わず、規制当局が独自にガイドラインを示した場合、分散型金融(DeFi)やステーブルコインにより緩やかな枠組みが適用されるかどうかだ。
Bitwiseの最高投資責任者(CIO)を務めるマット・ホーガン氏も、クラリティ法を巡る混乱は長引かないとの見方を示した。規制面の見通しについては、「表が出れば大勝ち、裏でも小勝ち」に近い状況だと評価した。
立法が頓挫しても、規制当局主導の代替ルートが開かれるとの期待を反映した発言といえる。
市場の焦点は大きく2つある。CFTCとSECが既存権限をどこまで適用してルールを策定できるのか。もう1つは、議会法案よりも緩やかな基準が実際に示されるかどうかだ。
セリック氏の発言は、少なくともルール策定そのものは止めないというシグナルとして受け止められている。業界では、立法の空白が続いた場合でも、米国の暗号資産市場の制度設計が規制当局主導で再編される可能性に注目が集まっている。