ソウル市の公共交通定期券「気候同行カード」30日券が10月1日に終了する。これに伴い、利用者の移行先となる「K-パス」ベースの「気候同行パス」を巡り、金融各社の利用者獲得競争が新たな局面に入っている。
ソウル市と金融業界によると、気候同行カード30日券は10月1日に運用を終える。プリペイド型は8月31日でチャージを終了しており、チャージ済み残高は29日まで利用できる。
後払い型についても、今月30日利用分まで気候同行カードの特典が適用される。短期券は引き続き運用する。
ソウル市は代替策として、今月1日から「K-パス」にソウル市民向けの優遇を上乗せした「気候同行パス」の運用を始めた。既存のK-パス利用者は、新たにカードを作らなくてもソウル市独自の特典を受けられる仕組みだ。
従来の気候同行カード利用者は、実物カードの気候同行パスに切り替えるか、カード会社を通じてK-パス連携のクレジットカードやデビットカードを発行して利用できる。気候同行パスでは、K-パスの基本還元に加え、ソウル市が青年割引の対象を満39歳まで広げるなど、追加の優遇策を盛り込んだ。
気候同行カード終了で、既存利用者はK-パスへ移行
制度見直しに合わせ、カード各社は気候同行カードの新規発行と追加発行を停止した。既存カードは、有効期間内に限って再発行に対応する。
このため、利用者は手元のカードを有効期限までは使えるものの、気候同行カードとしての割引は今月30日利用分までとなる。来月以降も通常の後払い交通カードとしては利用できるが、還元は受けられない。
交通費支援を継続して受けたい場合は、K-パス連携カードを新たに選ぶ必要がある。発行各社にとっては、既存顧客の維持に加え、他社利用者の取り込みを狙う乗り換え需要が生じた形だ。
実際、気候同行カードの利用者数は大きく減っている。ソウル市によると、利用者は6月の約90万人から8月末には36万人へと減少し、約60%縮小した。
一方で、K-パスの利用基盤は拡大している。加入者数は昨年10月の400万人から今年4月に500万人へ増え、7月29日には600万人を突破した。約3カ月で100万人の純増となった。
政策還元は共通、差別化の軸は独自特典に
競争の焦点も変わりつつある。K-パスは政府と地方自治体が定めた政策還元が共通で適用されるため、同じ条件であれば、どの発行会社のカードを使っても基本的な還元基準に差はない。
参加各社は従来の20社から27社に増えた。特に今年はJeonbuk Bank、Gyeongnam Bank、Jeju Bank、Toss Bankが新たに加わり、銀行の参入が目立っている。
さらに、信用協同組合、セマウル金庫、Tmoneyも参加し、これまでカード会社中心だった発行競争は、銀行や相互金融、交通カード事業者にも広がった。
政策還元が共通化される中で参加各社も増え、各社独自の特典による差別化の重要性は一段と高まっている。主要カード会社は、K-パス連携商品に追加の交通費割引や生活関連の特典を付けている。
公共交通の利用額に対して10%前後の追加割引を打ち出す商品が多い一方、前月利用額の条件や月間の割引上限は会社ごとに異なる。
生活関連の優待も幅広い。コーヒー、コンビニエンスストア、通信、オンラインショッピング、デジタルコンテンツなど、カードごとに対象分野はさまざまだ。そのため、同じK-パスでも、実際に受けられるメリットは交通費の支出規模やカード利用額、日常の消費パターンによって変わる。
既存の利用基盤に加え、気候同行カードからの移行需要も見込まれる中、政策還元にどの独自特典を上乗せして利用者を取り込むかが、金融業界の新たな競争軸になっている。
金融業界関係者は「実用性を重視する消費者が増え、カード会社ごとの特典を比較して発行するケースが多い」とした上で、「交通費の割引だけでなく、生活関連の特典や利用条件も含め、自分に合ったカードを選ぶことが重要だ」と話した。さらに「業界でも、特典を強化して新規顧客を確保する動きが続いている」と述べた。