米上院で暗号資産関連法案「クラリティ法」が前進できなかった。15日(現地時間)に行われた討論終結動議の採決で賛成は49票にとどまり、可決に必要な60票に届かなかった。これを受け、ビットコインは一時7万6000ドル台まで3〜4%下落した。
同法案を巡っては、シンシア・ルーミス上院議員が「今会期を逃せば2030年まで機会がない」と警鐘を鳴らし、超党派での成立期待が高まっていた。
争点となったのは主に3点だ。ステーブルコイン残高への利払いを認めるかどうか、開発者やインフラ提供事業者に資金移転事業者規制をどこまで適用するか、トランプ大統領本人の暗号資産事業に関する倫理規定をどう扱うかで、最終的に隔たりは埋まらなかった。
もっとも、今回の否決で法案が直ちに廃案になったわけではなく、再採決の余地は残る。ただ、11月の中間選挙を控えて議会日程は立て込んでおり、選挙後に新たな議会(第120議会)が発足すれば、継続審議とならない法案は自動的に失効する。このため、年内の再浮上は事実上難しいとの見方が強い。
同法に一貫して反対してきた民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は、今回の否決とは別に、独自の暗号資産規制法案を進める意向を示している。ウォーレン議員は、現行案について投資家保護が不十分なまま業界寄りに設計されていると批判しており、今後の再交渉でも投資家保護や利益相反の防止が主要な争点となる可能性がある。
今回の採決結果は、「クラリティ法」が不要かどうかではなく、どのような内容の規制枠組みが必要かを巡って、与野党の隔たりがなお大きいことを浮き彫りにした。
一方、韓国国内ではデジタル資産課税を巡る議論も再び熱を帯びている。政府が2027年からの導入方針を明確にするなか、金融投資所得課税との公平性や、市場への影響をどう考えるかが論点となっている。
デジタル資産業界は、株式との税負担の差に加え、取得価額の検証方法や取引類型ごとの課税基準など、制度面の準備が不十分だとして、導入時期の再検討を求めている。海外取引所や個人ウォレットの取引情報をどう把握するか、課税インフラをどう整備するかも、施行前に解決すべき課題として挙げられている。
市場では、ビットコインの長期リスクとして量子コンピューティングへの警戒も改めて意識された。量子コンピュータが実用段階に入れば、ビットコインの秘密鍵の安全性を支える楕円曲線暗号が、想定より少ない計算資源で解読され得るとするGoogleの研究が再び注目を集めた。
従来型コンピュータでは現実的な時間内に解読が難しい問題でも、量子コンピュータでは大幅に短縮される可能性があるという点が、あらためて話題となった。
同じ週には、量子コンピューティング企業IonQが第6世代の量子コンピュータを公開し、2027年に顧客へ引き渡す計画を明らかにした。これを受け、ビットコインの安全性を巡る議論も再燃した。差し迫った脅威ではないとの見方が多い一方、公開鍵を収集し、将来の解読に備える動きがすでに進んでいる可能性を指摘する声も続いている。
こうした背景から、長期保有者の間では量子耐性を備えたウォレットへの移行を巡る議論が徐々に広がっているという。
既存金融によるトークン化インフラへの投資も加速している。NASDAQはベンチャー投資部門を通じて、暗号資産取引所Krakenの持ち株会社Paywardに1億ドルを出資し、企業価値を210億ドルと評価した。
伝統的な証券取引所が暗号資産取引所のインフラに直接資本を投じた事例として、トークン化資産を巡り、ウォール街と暗号資産業界の境界が一段と薄れていることを示している。
同様に、世界の銀行業界でもステーブルコインの拡大をにらみ、トークン化預金の導入を急ぐ動きが確認された。銀行は、決済や送金分野での浸食に備えて自前のトークン化預金を活用しつつ、既存の預金規制の枠内でブロックチェーンによるリアルタイム決済の利点を取り込む戦略を進めているとの見方が出ている。
クラリティ法とは別に、暗号資産企業の間では米国での連邦銀行免許取得を巡る議論も続いた。免許を取得すれば、連邦預金保険公社(FDIC)の保護や連邦準備制度の決済網へのアクセスといった利点がある一方、自己資本規制や継続的な監督など、より厳格な銀行規制を受け入れる必要がある。
業界内ではこれを、安全網と引き換えに事業上の自由度を狭める選択だとみる向きもある。規制の明確化を求めながら、その明確化が伴う規制負担には慎重姿勢を示すという、業界の二面性も浮かび上がっている。
人工知能(AI)とデジタル資産の接点でも大型の資金移動が取り沙汰された。NVIDIAがAnthropicの新規株式公開(IPO)に最大100億ドルを投じる案を検討していると報じられ、AIインフラを巡る投資競争が、暗号資産業界の資金調達環境にも間接的な影響を及ぼし得るとの見方が出ている。
AIデータセンターの電力需要や半導体サプライチェーンに巨額資金が流れ込むなか、暗号資産業界でも、こうしたマクロの資金フロー次第でベンチャー投資を呼び込む環境が変わり得るとの指摘が出ている。