GPU調達の手段は、大手クラウド利用から持ち込み、自社保有まで広がっている。写真=Shutterstock

NVIDIA製GPUがAIインフラの中核資源となるなか、企業の調達戦略が大きく変わってきた。従来の大手クラウド依存から、ネオクラウド、オンラインマーケットプレイス、自社購入や持ち込みまでを組み合わせる形へと広がっている。

CNBCが報じた。AI向け計算需要が供給を上回る状況が続くなか、企業は複数のルートを併用してGPUの確保を急いでいる。供給不足と価格上昇を背景に、特定事業者への依存を避けて調達先を分散する動きが強まっている。

NVIDIAの業績見通しからも需要の強さがうかがえる。NVIDIAは10月四半期の売上高見通しとして1080億ドルを示した。前年同期比89%増となる。

AIインフラ需要の拡大に伴い、GPUの供給事業者も急増している。調査会社SemiAnalysisによると、9月時点でNVIDIA GPUの提供事業者は323社に達した。11カ月に満たない期間で、従来の209社から大幅に増えた。

NVIDIAの開示では、売上債権の10%以上を占める顧客は7月四半期時点で5社となり、1月時点の3社から増加した。GPU需要が一部の大口顧客に集中する一方、調達ルートそのものは多様化しているとの見方が出ている。

大手クラウド事業者は、なお有力な選択肢だ。AWS、Microsoft、Googleは大規模インフラと安定運用を強みに、生成AI市場をけん引している。Gartnerによると、AWSとMicrosoftは2025年のクラウドインフラ市場の59%を占めた。

企業向けソフトウェア企業にとっては、インフラの信頼性と安定性がとりわけ重要になる。AIアシスタントのスタートアップAbacusのCEO、バインドゥ・レディ氏は、企業向けサービスを提供するには、下位インフラとしてAzureが必要になると説明した。

もっとも、大手クラウドだけでは急増する需要をさばき切れなくなっている。Gartnerのハディープ・シン氏は、大手事業者は企業顧客に安心感を与える一方、必要量のGPUを常時確保しているわけではないと指摘した。

AmazonのCEO、アンディ・ジャシー氏も、今年見込まれる需要をすべて処理するのは難しく、供給不足が2027年まで続く可能性があるとの見方を示した。

こうした需給の隙間を埋めているのがネオクラウドだ。GPUやAI向け計算資源に特化したクラウド事業者で、大手クラウドより柔軟な契約条件や小口での供給を武器に、大手の代替先として存在感を高めている。

AIインフラ企業ModalのCEO、エリック・バーンハードソン氏は、当初は大手クラウドを利用していたが、その後は主要なネオクラウドに移り、現在は25社を使っていると述べた。数百~1000基規模なら確保できても、自社が必要とする量には足りなかったという。

オランダ拠点のネオクラウド企業NebiusのCRO、マーク・ボロディツキー氏は、大手クラウド事業者の一部から、自社では対応が難しい顧客案件の受け入れを打診された例があると明かした。ネオクラウドが大手の供給不足を補完する構図も出てきている。

ネオクラウドの強みは、供給と契約の柔軟性にある。事業者によっては、前払いなし、長期契約なしで、比較的小口のGPUを提供する。ただ、需要が集中する事業者ほど前払いを求めたり、実際の利用開始まで数カ月を要したりするケースもある。

CoreWeaveの副社長、チェン・ゴールドバーグ氏は、新規顧客に1日で1万基のGPUを提供するのは難しいと述べた。CEOのマイク・イントレイター氏も、短期で供給できるGPUの余力は実質的に売り切れた状態だと説明している。代替先として注目されるネオクラウドも、供給制約とは無縁ではない。

すぐにGPUが必要な企業は、さらに小規模な事業者や特定地域に根差した供給業者まで探し始めている。RunpodのCEO、ゼン・ルー氏は、足元の供給余力は逼迫しており、サプライヤーとの関係は自社にとって最も重要な機微情報の一つだと語った。

Massed Computeの共同創業者兼CTO、サニー・スミス氏は、価格上昇が見込まれる局面では、顧客が事前に容量確保のコミットメントを結ぶケースが多いと話した。

顧客がGPUを直接購入し、そのうえでクラウドインフラを活用するモデルも出てきた。Oracleは、顧客が保有するGPUをOracle Cloudに持ち込んで運用する方式を提供している。OracleのCFO、ヒラリー・マクソン氏は、この方式がマージンの維持・改善や投下資本利益率の向上につながる可能性があると述べた。

この方式は、GPUを購入する資金はあっても、電力やデータセンターの空きスペース、専門人材が不足する企業にとって有力な選択肢になり得る。設備を保有しながら、インフラ運用の負担を一部軽減できるためだ。

大規模なGPU容量を長期契約で押さえる動きも広がっている。SpaceXはGoogleとReflectionにそれぞれGPU容量を提供することを決めた。さらに5月にはAnthropicと、2029年半ばまで月額12億5000万ドル(約1875億円)規模のGPU賃貸契約を結んだ。SpaceXのCFO、ブレット・ジョンソン氏は、足元の採算性を踏まえると、新たな計算設備への投資回収期間は1年未満に短縮されたと説明した。

企業が自社データセンターにGPUサーバーを設置する動きも続いている。Lenovo Infrastructure Solutions Groupのブラッド・ロジャノビッチ氏は、企業からAIを社内環境に導入する方法についての問い合わせが増えていると明かした。DropboxとEverpureも、自社データセンターや直接保有するGPUを活用している。

EverpureのCEO、チャーリー・ジアンカルロ氏は、価格変動が大きい局面では、複数の調達経路を確保しておくほうが有利だと説明した。

課題はGPU価格の急騰だ。Orionの集計によると、NVIDIAのB200 GPUの時間当たりスポット価格は3月以降で2倍超に上昇した。調達ルートは広がっているものの、供給不足や価格上昇に加え、前払い・長期契約の負担が調達コストを押し上げている。

AIインフラ確保競争の激化を受け、企業は単一の手法に頼らない戦略へと舵を切っている。大手クラウドの安定性、ネオクラウドの柔軟性、直接購入や自社データセンターの統制力を組み合わせる調達の分散は、今後も進みそうだ。

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