米プロスポーツ界で、予測市場を巡る対応が分かれている。米プロフットボールリーグ(NFL)は、予測市場運営会社Kalshiと係争中のニュージャージー州を支持し、米連邦最高裁に第三者意見書を提出した。一方で、提携の可能性も探っており、次の焦点はNBAの判断に移っている。
NFLは、連邦商品取引法が州によるスポーツ関連契約の賭博規制を妨げるものではないとするニュージャージー州の主張を支持した。
Banklessによると、NFLはスポーツ関連契約を賭博と位置付け、州の賭博規制の枠外で予測市場の取引が広がれば、試合の公正性や消費者保護が損なわれかねないと主張した。
NFLが裁判所に提出した資料では、シーズン開幕後最初の日曜日における予測市場の取引額33億ドル(約4950億円)のうち、18億ドル(約2700億円)がNFLの試合関連に集中した。当日の取引全体の過半を占めたという。
NFLはここ数カ月、予測市場への警戒を強めてきた。3月には予測市場を運営する企業に対し、選手の負傷や審判の判定、単独のプレーで結果が左右され得る事象など、不正の影響を受けやすい契約の禁止を求める書簡を送付。5月には米商品先物取引委員会(CFTC)に安全対策の強化を要請し、7月にはCFTCの規則案について、既存のスポーツベッティング事業者に適用される保護措置に及ばないと指摘した。9月にも、問題視してきた契約がなお取引されていると訴えている。
もっとも、NFLは対話の余地を完全には閉ざしていない。Front Office Sportsによると、NFLはKalshi、Polymarket、CFTCと数カ月にわたり提携を協議してきたが、シーズン開幕までに合意には至らなかった。ロジャー・グッデルNFLコミッショナーも、9月11日に公開されたCNBCのインタビューで、各社とパートナーシップについて協議していると認めた。
NFLはこれまで、規制の不備や法的な不確実性を契約見送りの理由に挙げてきた。非公開協議の詳細は明らかになっていないが、Banklessは、提携が実現すればNFLが市場の健全性監視に直接関与できるほか、ライセンス料やデータ利用、マーケティング契約の確保にもつながる可能性があると伝えている。
州政府に予測市場を規制する権限があるかどうかを巡っては、連邦控訴裁判所の判断も割れている。第3巡回区控訴裁判所はKalshiを支持した一方、第6巡回区と第9巡回区の控訴裁判所はこれに反対する判断を示した。最高裁は、審理入りするかどうかをまだ決めていない。
スポーツ団体の対応も一様ではない。NHLは昨年10月にKalshi、Polymarketと提携し、UFCとMLSはPolymarketと契約した。MLBも3月にPolymarketと提携し、CFTCとは市場の健全性強化に関する別の協約を結んでいる。
これに対しNFLは、DraftKingsやFanDuelとの契約を更新し、8月にはFanaticsを加えるなど、既存のスポーツベッティング事業者との関係を広げてきた。DraftKings、FanDuel、Fanaticsはいずれも予測市場事業を手掛けており、NFLが予測市場への抑制姿勢を示す一方で、提携先は同市場から収益を得ている構図になっている。
次の焦点として注目されるのがNBAの動きだ。今月20日のシーズン開幕を控えるNBAは9月、Kalshi、Polymarket、Fanaticsなどに提携提案書を送付したとされる。
ただ、NBAもこれまで一貫して前向きだったわけではない。昨年5月には予測市場に対する監督強化を求め、今年7月にはCFTCの規則案ではインサイダー取引や相場操縦の防止に不十分だと主張した。4月には、予測市場が法的に賭博に当たるかどうかについて見解を示さない姿勢も示している。
Banklessは、NBAが提携に踏み切れば、主要リーグの中でNFLが例外的な存在として残る一方、交渉が決裂すればNBAも州側に回る可能性があるとみる。両リーグが同じ立場を取れば、連邦法が州賭博法に優先するとするKalshiの主張に対抗する声が強まり、最高裁に審理を求める圧力も高まるとの見方だ。