Ethereumの次期大型アップグレード「Glamsterdam」が、最初のテストネット検証を開始した。6日(現地時間)にSepoliaテストネットへ適用され、目立った不具合もなくブロック確定まで進んだ。メインネットへの適用時期は、2026年10〜12月期が目標となっている。
Glamsterdamは、コンセンサスレイヤー更新「Gloas」と実行レイヤー更新「Amsterdam」を組み合わせた名称だ。
Banklessによると、Ethereumの研究コミュニティでは今回の進展を好意的に受け止める見方が出ている。イーサラブスの研究者バルナベ・モノ氏はX(旧Twitter)への投稿で、アップグレード完了後にはEthereumのメインチェーン(レイヤー1)の処理能力が少なくとも3倍、スマートコントラクトのサイズは2.5倍になるとの見方を示した。
Ethereum Foundationの研究者トニ・ワールシュテッター氏も、Ethereumのローンチ以来で最大のスループット拡大になると説明している。
具体的には、Ethereumのブロックには処理量の上限である「ガス上限」がある。Glamsterdamは、この上限を現在の6000万から約2億まで引き上げても、ネットワークが対応できるようにする設計だ。単純計算では約3.3倍の拡大となる。
メインネットのガス上限は、ここ数年は3000万前後で推移していたが、2025年に3回に分けて6000万へ引き上げられた。2021年のロンドンアップグレードで最大ブロックサイズを2倍にした際も、目標値は1500万だった。
もっとも、アップグレードの実施と同時に処理量が直ちに3倍へ増えるわけではない。Banklessによると、Glamsterdamはブロックサイズを拡大しても安全性を維持できるよう、ブロック生成の方式を改めるのが主眼で、実際にガス上限をどこまで引き上げるかは、その後にバリデーターが判断する。
Glamsterdamには、Ethereum改善提案(EIP)が18件含まれる。Banklessは、その中でも注目点を3つ挙げている。
1つ目は、EIP-7732によるePBS(enshrined Proposer-Builder Separation)の導入だ。
現在のEthereumでは、専門のビルダーがブロックを作成し、リレーと呼ばれる仲介者を通じてバリデーターに渡す仕組みを採っている。ePBSの導入後は、プロポーザーがビルダー署名済みの入札に先にコミットし、その後ビルダーがブロック全体を公開する流れに変わる。
これにより、多くのバリデーターがトランザクションを検証できる時間は、約4秒から約9秒へ延びる見通しだ。確認時間が2倍超に伸びることで、1ブロック当たりにより多くのトランザクションを収めても処理しやすくなるとしている。
2つ目は、EIP-7928の「ブロック単位アクセスリスト(BAL)」だ。
これは、ブロックがどのデータにアクセスし、処理後に値がどう変わるかを一覧化し、あらかじめ添付して送る仕組みを指す。現状では、トランザクションの中身を開いてみるまでアクセス先が分からず、順番に1件ずつ処理する必要がある。BALがあれば必要なデータを先に取り出せるため、複数のトランザクションを同時に確認しやすくなる。
Banklessはこれを工場に例え、ePBSが検査時間を延ばす仕組みだとすれば、BALは複数の組み立てラインを同時に動かせるようにするものだと説明した。
3つ目は、コントラクトサイズの拡大とコスト調整だ。今回のアップグレードでは、Ethereumスマートコントラクトの最大サイズが24KiBから64KiBへ拡大する。
これまでは、大規模サービスではコード量が上限を超えるため、プログラムを複数に分割してデプロイする必要があった。アップグレードによって、こうした負担は軽減される可能性がある。
今後の焦点は日程だ。次はHoodiテストネットへの適用が予定されており、27日が暫定日程として取り上げられているものの、まだ確定していない。メインネットへの適用目標は、2026年10〜12月期としている。
Glamsterdamは当初、2026年上半期の実施を予定していた。Sepoliaへの適用も8月3日から10月6日に延期されており、今後のスケジュールも変動する可能性がある。
Ethereum FoundationはGlamsterdamを巡り、ガス上限の最大値を固定値として前提にしているウォレットやインデクサー、ガス見積もりツールについて、更新されなければ不具合が生じる恐れがあると警告した。Banklessはあわせて、エアドロップやミント、新規ウォレット作成など、新規アカウントやストレージを多く消費する操作では、コスト負担が増す可能性があると伝えている。