人工知能(AI)の活用が、モータースポーツの現場で広がっている。スポンサー露出にとどまらず、車両セッティングの最適化や無線交信の分析、損傷確認、空力開発の効率化まで用途が拡大している。
米Ars Technicaが7日(現地時間)に報じたところによると、IndyCarの名門Chip Ganassi Racing(CGR)は2026年、OpenAIの研究チームとともに車両セッティングの最適化に取り組んだ。センサー情報やレースデータをAIで解析し、エンジニアの判断を支援する。取り組みの模様はドキュメンタリーシリーズとして公開されている。
協業の中心にいるのはドライバーのアレックス・パロウだ。パロウは2026年シーズンの18戦で6勝、8回のポールポジションを記録し、通算5度目のIndyCarチャンピオンとなった。2021年以降の6シーズンで5度タイトルを獲得し、直近では4年連続のチャンピオンに就いている。ただ、こうした成績にAIがどの程度寄与したかは明らかにされていない。
CGRとOpenAIの関係は、スポンサー契約の枠を超えて技術協業へと広がった。OpenAIの研究者やエンジニアは実際のレース現場でチームとともにデータ分析を進めており、2026年の一部レースではパロウの10号車がOpenAI仕様のカラーリングで参戦した。
AI導入の動きは、モータースポーツ全体にも及んでいる。GMは無線交信の分析を通じてレース中の黄旗発生の可能性を予測するほか、コース脇で撮影した画像をAIで解析し、車体損傷の有無を数秒で確認する仕組みを運用している。関連する分析業務は、米ノースカロライナ州シャーロットの技術センターが支援する。
車両開発の段階でもAIの活用は進む。IBMとDallaraは、計算流体力学(CFD)データを学習したAIモデルによって、数時間を要した一部の空力シミュレーションを数分に短縮できる可能性を示した。Formula 1でもRacing Bullsなど複数チームが、Neural ConceptのAIベースの空力設計技術を活用している。
膨大なデータを短時間で読み解く必要がある現代のモータースポーツでは、AIがロゴ掲出にとどまらない新たな「性能ツール」として存在感を高めている。