AI利用をKPIに組み込む企業が増えるなか、開発現場では評価や雇用を巡る不安も広がっている。写真=Shutterstock

コンサルティング企業Adaptavistが英国、米国、ドイツ、オランダ、スペインのソフトウェア開発者1000人を対象に実施した調査で、AI導入の広がりに伴い、開発者の間で評価や雇用への不安が強まっている実態が明らかになった。ITメディアのTechRadarが7日(現地時間)に報じた。

調査では、回答者の50%が「AIを使えることを示すため」にAIを利用していると答えた。47%は、成果物の品質よりも「AIをどれだけ使ったか」で評価されていると感じているという。企業がAI導入に多額の予算を投じる一方、現場では実際の成果より利用実績そのものが重視されつつある構図が浮かんだ。

こうした傾向は人事評価にも及んでいる。58%は、AI利用が評価基準になっている、または重要業績評価指標(KPI)に追加されたと回答した。従来の業務手法や開発プロセスを十分に踏まえないままAI活用を進めることで、開発者の役割や立場に対する不安が強まっていることがうかがえる。

雇用面での懸念も大きい。54%が長期的なキャリアに不安を感じていると答え、37%はAIを使わなければ職を失う可能性があると懸念した。AIが生産性向上のためのツールというより、評価や雇用の安定を左右する要素として受け止められている実態が示された。

AdaptavistでグループDevOps責任者を務めるマット・ソンダース氏は、有益な開発者体験は個人のウェルビーイングだけでなく、組織の成長やイノベーションにとっても重要だと指摘した。そのうえで、AI導入の目標や利用量の指標、さらには「AIをうまく使う」ことより「使っているように見せる」ことを評価するような文化が、開発者体験を損なってはならないと述べた。

同氏は、こうした構造が人材流出につながる恐れがあるとも警鐘を鳴らした。AI導入では導入率そのものを追うのではなく、最終的な成果を見るべきだとしている。

企業の課題は、AIを広げること自体ではなく、その活用成果をどう評価し、管理するかに移りつつある。ソンダース氏は、エンジニア人材をつなぎ留めるには、AI導入率の測定より結果を重視し、実務改善につながる形でAIを活用できるよう、開発者に時間と自律性、支援を与える必要があるとした。AIが開発組織の新たな評価項目として定着しつつあるなか、利用量中心の管理から脱却できるかが今後の焦点となりそうだ。

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