品質確認の一部を車載コンピュータに担わせるFordの新たな検証手法。写真=Shutterstock

Fordは、次世代EVプラットフォームに車両の自己診断機能を導入する。通電後、車載コンピュータが内部の接続状態を自動で点検し、組み立て不良があればその場で作業者に知らせる仕組みだ。

Business Insiderが7日付(現地時間)で報じたところによると、ジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は自社イベント「アクセラレート」の懇談会で、次世代EV向け「ユニバーサルEVプラットフォーム」にこの機能を適用すると明らかにした。ファーリー氏は「車が自ら診断する」と述べ、作業者の後方からビジョンシステムで部品の締結有無を確認する従来方式とは異なるアプローチだと説明した。

もっとも、Fordは工場内カメラや外部検査をやめるわけではない。組み立て工程では引き続きカメラを活用しつつ、車両内部での検証を新たに加える。塗装工程の直後に車両へ電力を供給すると、コンピュータが内部接続の正否を確認し、異常があれば現場で直ちに作業者へ通知する。

ファーリー氏は、コンピュータが接続の適否を判断し、その結果を即時に作業者へ伝えると説明した。自動車業界ではこれまで、生産ライン外の検査やスキャナーで各種接続の状態を確認してきた。Fordはその一部を車両側のシステムに取り込む考えだ。

こうした取り組みの背景には、品質改善を急ぐ事情がある。Fordは昨年、顧客への引き渡し前に不具合をより多く取り除く必要性を強く意識しており、年間の車両リコール件数は150件を超え、米自動車業界で最多だった。従来の最多は2014年にGeneral Motorsが記録した77件。米道路交通安全局の資料によると、Fordは今年もすでに78件のリコールを記録している。

一方で、Fordは新車品質の改善もアピールしている。6月のJD Power初期品質調査では首位となり、改善要因としてエンジニアの増員や熟練技能者の再採用を挙げた。

次世代EVプラットフォームでは、構造の簡素化も柱に据える。このプラットフォームをベースにした初の車両「ファゾム」ピックアップトラックについて、Fordは従来のEV開発方式と比べ、部品数を20%、ファスナーを25%、作業エリアを40%削減したとしている。部品や工程を減らすことで組み立ての複雑さを抑え、品質管理の負担軽減につなげる狙いがある。

生産方式も見直す。ルイビル工場では、従来の単一フロー型の組み立てラインではなく、トラックの主要3構成をそれぞれ別に製作し、中央で結合する方式を採用する。Fordはこれを「アセンブリーツリー」と呼ぶ。複数の構成要素を最終段階で統合するこの方式は、次世代プラットフォームの簡素化戦略と内部検証機能を支える生産体制の変更といえる。

Fordは2024年から、自社開発のスキャナー「AiTriz」と「MAIVs」も工場に導入している。機械学習と映像ストリーミングを組み合わせ、小さなずれまで検知することに重点を置く。Fordによると、手袋を着用した作業者が手の感覚だけでは部品同士の接続状態を確認しにくい場面で、とくに有効だという。

これにより、Fordの次世代EV生産は、外部カメラ、スキャナー、車載コンピュータを組み合わせた多層的な品質検証体制へ移行する。FordはユニバーサルEVプラットフォームの詳細な組み立て方式について、来年1月に追加情報を公表する予定だ。

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