Tetherは、カザフスタン中央銀行とアルアタウ市当局との間で、現地通貨テンゲに連動するステーブルコインの実証と資産トークン化の検討に向けた覚書(MoU)を締結した。ステーブルコインのユースケース検証と、RWA(現実資産)トークン化のモデル設計を進める。発行主体や実施時期は未定だ。
暗号資産メディアのDecryptoが現地時間7日、報じた。3者はまず、他国のステーブルコイン発行事例を調査し、構想案と実証事業の提案書を策定する方針という。
資産トークン化では、対象となる資産クラスを選定したうえで運用モデルを設計し、アルアタウでパイロット事業を進める。対象には、建物や債券など既存の実物資産・金融資産の所有権を、ブロックチェーン上のデジタルトークンとして記録する仕組みが含まれる。
このパイロットでは、Tetherが2024年11月に投入したトークン化プラットフォーム「Hadron」を活用する可能性があるとみられている。
今回の動きは、カザフスタン中央銀行が進める暗号資産関連投資の拡大方針とも重なる。中央銀行は3月、約700億ドル規模の金・外貨準備のうち、最大3億5000万ドルを暗号資産関連投資に振り向けた。この資金は暗号資産そのものではなく、関連企業の株式やインデックス型ファンドに投じられる可能性がある。
9月時点では、カザフスタンの暗号資産準備金は7億ドルに達した。このうち約2億ドルが実際に投資され、その大半はヘッジファンドを通じて運用されたという。規制面の試行にとどまらず、投資とトークン化インフラ整備を並行して進める姿勢が鮮明になっている。
カザフスタンでは、テンゲ建てステーブルコインの実証もすでに進んでいる。中央銀行の規制サンドボックスの下で2025年9月に始まった「Evo」がその一例で、取引所IntebixとEurasianが発行し、SolanaとMastercardが構築を支援した。中央銀行はテストルールを設計する立場にあり、トークンの発行主体ではない。
不動産トークン化も並行して進む。中央銀行は、カザフスタン証券取引所のインフラを活用し、アルアタウ内の不動産2件をトークン化する別計画を推進している。対象資産の価値はそれぞれ最大5000万ドルと1000万ドルで、完了時期は2026年末としている。
アルアタウはアルマティ地域で整備が進む計画都市で、独自の法体系を備えた中央アジアのフィンテック拠点を目指している。カシムジョマルト・トカエフ大統領は、同市で住民が商品やサービスの代金を暗号資産で決済する構想も示していた。
今回のMoUは、ステーブルコインの検討と資産トークン化の実証を同じ枠組みで進める点が特徴だ。カザフスタンは、投資配分の拡大や個別パイロットに続き、アルアタウを拠点にデジタル資産インフラの整備を広げつつある。