セルフカストディ型の暗号資産ウォレットを手掛けるTangemは、Visa対応の暗号資産カード「Tangem Payカード」を投入した。店舗とオンラインでの決済に加え、ATMでの現金引き出しにも対応する。一方で、需要の大きい地域と実際にカードを提供できる地域にはずれがあり、規制や銀行インフラ、発行要件が展開を左右するとしている。
Cointelegraphが7日(現地時間)に報じた。Tangemはセルフカストディ決済サービス「Tangem Pay」をVisaネットワークに接続し、物理カードとして提供を始めた。
初回ロットは5,000枚に限定する。利用者はセルフカストディウォレットからカードへ直接チャージでき、カードを停止・解約した場合は資金をウォレットへ戻せる。第三者のカストディ事業者に資産保管を委ねずに、決済ネットワークを利用できるのが特徴だ。
ただ、需要と提供可能地域は一致していない。Tangemによると、Tangem Pay決済の40%超は中南米、30%超は米国で発生しているが、一部市場ではTangem Payカードを提供できないという。
Tangem Pay責任者のアンドレイ・イリンスキー氏は、カードの提供地域は需要だけでは決まらないと説明した。同氏は「暗号資産カードがどこで求められているかだけの問題ではない。需要に加え、規制、銀行インフラ、カード発行要件がそろう必要があるが、現状ではそれらが一致しない地域がある」と述べた。
Tangemは現在、中国、ロシア、北朝鮮、パレスチナなどを含む約20カ国にTangem Payカードを配送できないとしている。こうした制限は、暗号資産そのものに対する規制と必ずしも一致しないとも指摘した。本人確認(KYC)、制裁、現地銀行の規定、カード発行に関するコンプライアンス要件が、サービス提供地域を左右するという。
同社はまた、セルフカストディによってあらゆる障壁が解消されるわけではないとの見方も示した。利用者と資産の間からカストディ事業者を排除できても、その資産が規制下の決済ネットワークに入れば、別の制約が生じるためだ。暗号資産を代替的な決済手段として求める市場環境が、かえって規制下でのカード発行を難しくする可能性もあるとしている。
あわせてTangemは決済リワードも導入する。対象となる購入に対し、通常ユーザーはCircleのUSDCで1%、プラスユーザーは2%の還元を受けられる。Tangem Payカードは、シンガポールで開催されるToken2049で初披露される予定だ。
今回の発表は、暗号資産決済サービスがウォレット機能にとどまらず、カードネットワークとの接続へと広がっていることを示す。一方、普及のペースは利用者需要だけでなく、各国の規制や銀行インフラ、カード発行要件がどこまで整うかに左右されそうだ。