Hondaは、日本の高速道路で電気自動車(EV)向けの走行中ワイヤレス給電(DWPT)の公道実証を始める。2027年度から、千葉県内のE14館山自動車道で約300mの試験区間を設け、150kW級の出力や最高時速120kmでの給電安定性を検証する。
InsideEVsによると、Hondaの研究開発子会社とDaisei、Daiseirotecは、道路に埋設した送電装置から車両下部の受電装置へ電力を送る、磁気結合方式のワイヤレス給電システムを開発した。実証は館山自動車道の君津休憩所付近で行う。
今回の実証では、充電ステーションに立ち寄らず、走行中に電力を補給できる環境の実現を目指す。Hondaは地上送電ユニット1基当たり瞬間最大150kWを目標に据える。将来的な大型商用車への展開も視野に、高出力給電と高速走行時の安定性を確かめる。
初期の適用先として想定するのは、長距離運行が多く稼働率も高いトラックや物流車両だ。大型商用車では航続距離を確保するため大容量バッテリーが必要になるが、走行中に電力を補えるようになれば、搭載電池容量や充電待ち時間の圧縮につながる可能性がある。
Hondaの開発責任者、ウエダ・タク氏は、「走行中充電が実用化されれば、充電場所や充電時間、航続距離への不安を和らげられる。将来の車両に必要なバッテリーセル数を減らせる可能性もある」と説明した。バッテリーの小型化によって、車両価格や重量の低減も見込めるとしている。
一方で、商用化には課題も残る。道路の敷設・設置コストに加え、大型車の繰り返し通行に耐える耐久性、電磁界漏えい、保守コストなどの検証が必要になる。Hondaは2026年末までに、別の試験道路で車輪荷重100万回相当の耐久試験などを先行実施し、その後に高速道路での実証へ移る計画だ。
Hondaにとって、走行中ワイヤレス給電への取り組みは今回が初めてではない。米・デトロイトなどでも同様の実証が進んでおり、今後は技術そのものの実装だけでなく、設置費や事業性をどこまで改善できるかが競争の焦点となりそうだ。