ビットコインが長期的に50万ドル(約7,500万円)へ上昇するシナリオを巡り、金との相対価値が重要な評価軸になるとの見方が示された。資産運用会社VanEckのデジタル資産リサーチ責任者、マシュー・シーガル氏は、長期的な目安として「金時価総額の半分」を挙げている。
Bitcoin Magazineが10月5日(現地時間)に報じた。シーガル氏は、ビットコインの将来価値を単純な価格予測で捉えるのではなく、金に対してどの程度の市場規模と役割を獲得するかで見るべきだと説明。50万ドルは、その到達点を考える上での長期的な指標だと位置付けた。
同氏の分析は、個別の好材料や悪材料に一喜一憂する見方とは一線を画す。金との比較に加え、ポートフォリオ内での位置付け、ドルを巡る環境、マクロ経済の流れを合わせて評価する必要があるとしている。
なかでも注目点として挙げたのが、AI産業の拡大に伴うビットコイン採掘企業の再評価だ。AIデータセンターの増設が進み、電力確保を巡る競争が強まるなか、採掘企業が保有する電力契約やインフラの価値が改めて問われているという。
シーガル氏は、電力契約を押さえている採掘企業は、AI経済における希少な資産を持つと評価する。重要なのは採掘設備そのものではなく、電力へのアクセス権や長期契約だという。AIインフラの拡大で電力需要が増すほど、既に確保済みの電力資源の価値も高まる可能性がある。
採掘企業の企業価値を考える上では、長期リースや電力契約の中身も重要になる。同氏は、10〜20年に及ぶ長期契約や、投資適格級の相手先との取引が増えることで、一部企業の事業構造は従来と変わりつつあると指摘した。
こうした変化を踏まえると、採掘企業の株価とビットコイン価格の連動性は、以前より弱まる可能性がある。収益源が採掘収入だけでなく、AIデータセンター向けにも活用できる電力インフラへと広がれば、企業価値を支える要因が多様化するためだ。
さらに同氏は、市場で十分に織り込まれていない再評価余地が残っている可能性にも言及した。採掘企業が保有する電力とインフラが今後AI産業の成長に取り込まれれば、追加的な企業価値の見直しにつながるとの見方だ。
マクロ経済環境も、ビットコインの長期上昇を考える上での重要な変数だとしている。売り圧力の一巡や下値での買い需要に加え、インフレや財政優位へのヘッジ手段として機能する可能性に触れた。ドルとビットコインの関係についても、金との相対価値という枠組みの中で捉えるべきだとした。
一方、規制や技術面のリスクについては、比較的楽観的な見方を示した。追加規制が不可欠とは限らないとし、量子コンピューティングは現実のリスク要因と認めつつも、直ちにビットコインを売る理由にはならないと述べた。
シーガル氏の見立ては、ビットコインの将来価値を価格だけで語るものではない。金との相対価値、ドルとマクロ経済、そしてAI産業の電力需要という複数の要素が、ビットコインと採掘企業の評価を左右するというのが同氏の基本認識だ。
AIデータセンターの拡大で電力確保競争が激しくなるなか、採掘企業が握る電力契約が暗号資産業界の枠を超えた資産として評価されるかどうかが、今後の焦点になりそうだ。