猫の飼育密度が高い国ほど、国民の主観的幸福度も高い傾向があるとする研究結果が明らかになった。ただし、猫を飼うことが個人の幸福度を高めるという因果関係を示したものではない。
メキシコ、フィンランド、ラトビア、米国の研究チームは、93カ国を対象に、幸福度と猫の飼育密度、国内総生産(GDP)、所得水準、医療費、トキソプラズマ抗体保有率の関係を分析した。論文は国際学術誌「PLOS One」に掲載された。
分析の結果、人口1万人当たりの猫の数が多い国ほど、幸福度が高い傾向が確認された。猫の飼育密度と幸福度の相関係数は0.620だった。
一方、最近のトキソプラズマ感染を示すIgM抗体保有率は、幸福度と負の相関係数は-0.540を示した。複数の変数を同時に扱うモデルでも、猫の飼育密度は幸福度と正の関係、IgM抗体保有率は負の関係をそれぞれ示した。
また、猫が多い国ほどトキソプラズマへの曝露が高い、という単純な関係は確認されなかった。研究チームは、富裕国では猫を屋内で飼育し、加工飼料を与え、定期的に獣医の診療を受けさせるケースが多く、感染リスクを抑える可能性があるとみている。
これに対し、低・中所得国では、猫が屋外で自由に行動する機会が比較的多く、環境を通じた曝露リスクが高まる可能性があると説明した。
ただし、この研究には制約もある。トキソプラズマに関するデータは一般住民ではなく、妊婦の抗体保有率を全人口の代理指標として用いている。また、猫の飼育密度は、個人が実際に猫を飼っているかどうかや、猫との関わりの深さを直接示す指標ではない。
研究チームは、今回の結果はあくまで国家レベルでの相関を示したものであり、猫が幸福度を高める、あるいはトキソプラズマが幸福度を下げるといった因果関係を意味するものではないと強調している。