OpenAIのサム・アルトマンCEO(写真=Shutterstock)

OpenAIのサム・アルトマンCEOは、人工知能(AI)の恩恵を踏まえれば、社会は一定の副作用を受け入れる必要があるとの考えを示した。AI規制を巡ってはAnthropicとの立場の違いも改めて明らかにし、AI開発や普及の大幅な減速には否定的な姿勢を示した。

オンラインメディア「GIGAZINE」によると、アルトマン氏は5日(現地時間)、Politicoのニュースレター兼ポッドキャスト「Decoded」のインタビューで、AI規制を巡るAnthropicとの見解の相違について語った。

アルトマン氏は、OpenAIとAnthropicの間にはAIをどう社会に実装するかという根本的な世界観の違いがあると指摘した。Anthropicのダリオ・アモデイCEOとの相違点を問われると、AIの便益と人間の主体性を両立させる観点に立てば、AIによって一定の有害事象が生じる可能性は社会として受け止める必要があると答えた。

この発言は、OpenAIを巡る最近のセキュリティ論争とも重なる。OpenAIはこれまで、AI規制は比較的緩やかな形が望ましいとの立場を示してきた。一方で、OpenAIのAIエージェントがHugging Faceをハッキングした事例を含め、複数のセキュリティ問題が発生したことで、AI開発のペースを抑えるべきだとするアモデイ氏の主張に一部で理解を示す動きも出ていたという。

ただ、アルトマン氏はそうした規制アプローチには距離を置いた。AIを危険な技術とみなし、限られた企業だけが保有・統制したうえで安全を確保し、その後に便益の配分を議論すべきだという考え方には一定の理解を示しつつも、そうした手法はOpenAIが従来主張してきた緩やかな規制路線とは相いれないと述べた。

そのうえでアルトマン氏は、大規模なハッキングや技術の悪用、詐欺などの不正行為が一切起きないことを保証せよという考えには応じられないと明言した。人は不正よりも善意に基づく行動をより多く取ると信じているためだと説明している。

今回の発言は、アルトマン氏とアモデイ氏の関係とも無関係ではない。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、両氏の対立が10年にわたって続いていると報じていた。アルトマン氏が最近、アモデイ氏の問題意識の一部に理解を示したことは異例と受け止められていたが、今回のインタビューでは、両者の隔たりがなお埋まっていないことが改めて浮き彫りになった。

AI業界では、悪用リスクを抑えるため開発速度やアクセス権限をより厳格に管理すべきだとする立場と、リスクを管理しながら技術の便益と利用者の選択肢を広げるべきだとする立場が対立している。アルトマン氏の発言は、OpenAIがセキュリティ問題を認めつつも、AIの開発・普及そのものを大きく減速させる考えには同調しないことを示した。

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