欧州で2万5000ユーロ未満の低価格EVの販売が急拡大している。EUの自動車向けCO2規制を背景に、自動車メーカーが小型・普及価格帯のEV投入を増やしているためだ。
クリーンテクニカが5日付で報じたところによると、欧州運輸環境連合(T&E)は、2万5000ユーロ未満のEV販売が2025年に2024年比で7倍に拡大すると予測した。この価格帯で販売される車種数も、この2年で2倍に増えたとしている。
新車投入のペースも加速している。2025年上半期だけで約40車種の新型EVが欧州市場に投入され、普及価格帯のBEVは150車種を超えた。通年では約60車種の新モデル投入が見込まれ、2021〜2025年の年平均15車種と比べて約4倍の水準になる。
需要の強さも鮮明になっている。T&Eによると、Volkswagenの「ID. Polo」には4万件を超える注文が集まり、納車まで約10カ月待ちとなっている。T&Eで自動車部門を担当するルシアン・マチュー氏は、業界が指摘してきた「EV需要の不足」よりも、消費者が求める価格帯や車格のモデル供給が不足していたことが問題だと指摘した。
販売実績も伸びている。2025年1〜8月にEUで登録されたBEVは164万1333台と、前年同期比で約45%増加した。第2四半期のBEV比率は22%となり、四半期ベースで初めてガソリン車を上回った。
燃料価格の上昇もEVシフトを後押しした。T&Eは、燃料価格ショックによってEUの道路利用者が530億ユーロの追加負担を強いられたと試算した。価格高騰局面の早い段階でEVに乗り換えていれば、9月中旬までに約350ユーロの走行コストを節約できた可能性があるという。
T&Eはまた、現行の2030年自動車部門の炭素削減目標が緩和されれば、市場への新規投入が見込まれる低価格EVの供給は最大で供給が約4分の3減る可能性があると指摘した。欧州自動車メーカーのグローバル競争力の低下につながりかねないとして、警鐘を鳴らしている。