中国政府は、2030年までに全固体電池の量産・実用化を初期段階まで進める目標を打ち出した。次世代電池産業の育成を急ぐ構えだが、世界最大の電池メーカーであるCATLは、量産技術やコスト面の課題を理由に、普及にはなお時間を要するとの慎重な見方を示している。
InsideEVsなどによると、中国の工業情報化部など7部門は「新型電池産業第15次5カ年計画」を公表した。計画では、2030年までに全固体電池の初期段階の量産・実用化を実現するとともに、先端電極材料や新型電解質などの中核技術でブレークスルーを目指す方針を盛り込んだ。
政府が産業育成を加速する一方で、CATLは商用化の時期に慎重な姿勢を崩していない。ロビン・ゼン(Robin Zeng)CATL会長は6月、全固体電池の技術成熟度について「9段階中4」との認識を示した。9が量産化可能な段階に相当するため、実用化までにはなお大きな隔たりがあるとの見方だ。
CATLは2027年に小規模生産と実車検証を目指す。ただ、ゼン会長は、全固体電池が数百万台規模の車両に採用される可能性は2030年以前では極めて低いとみている。性能向上に加え、製造の安定性確保とコスト低減を同時に進める必要があるためだ。
LG Energy Solutionも同様の見方を示している。ロバート・リー(Robert Lee)LG Energy Solution北米社長は、大型の全固体セルの量産は依然として難しいとした上で、まずはスマートフォンや特殊用途で商用化が進み、その後に電気自動車へ広がる可能性が高いと述べた。
市場予測も慎重だ。BloombergNEFは、全固体電池が2035年時点でも世界の電気自動車向け・エネルギー貯蔵向け電池需要に占める割合は約10%にとどまると見込む。中国では半固体電池を搭載した車両がすでに登場しているが、これを完全な全固体電池の本格商用化とみなすのは難しいとの見方を示している。
中国政府は全固体電池に加え、ナトリウムイオン電池、フロー電池、長寿命リチウム電池など次世代技術も並行して育成する方針だ。2030年までに、長寿命リチウム電池の充放電サイクル寿命を1万5000回へ引き上げる目標も掲げた。