地方自治体の指定金融機関(自治体金庫)の選定を巡り、銀行間の競争が一段と激しくなっている。協力事業費の競争に加え、地域農協の店舗をNH農協銀行の営業網として評価対象に含めるかどうかも争点に浮上しており、選定基準の公平性を疑問視する声が強まっている。
金融監督院も、自治体金庫の選定過程で過当競争が広がっているとして警戒感を示している。全南光州統合特別市やセジョン市の選定を控える中、競争の行方に関心が集まっている。
金融業界によると、全南光州統合特別市とセジョン市は、いずれも2027年から2030年までの市財政を管理する次期自治体金庫の選定手続きを進めている。両自治体は6日から7日にかけ、金融機関から提案書を受け付ける予定だ。
このうち全南光州統合特別市の自治体金庫は、年間約25兆ウォン規模の財政を扱うため、銀行側の関心も高い。
自治体金庫は、単に自治体資金を保管するだけの業務ではない。一般・特別会計や各種基金の管理、地方税の収納などを担うため、地域住民との接点を広げられるほか、預金基盤や営業力の拡大にもつながる重要な事業とみられている。
一方で、競争が過熱するほど、資本力の差が選定結果を左右しかねないとの批判も強い。
イ・チャンジン金融監督院長は先月、銀行持ち株会社の会長らとの会合で、自治体金庫の入札を巡る過当競争に言及した。
同院長は、資本力で優位に立つ銀行が協力事業費の競争を通じて選定を有利に進める現状について、公平な競争条件とは言い難いとの認識を示した。あわせて、自治体関連の協力事業費支出が銀行の健全性や収益性に与える影響を点検する考えも明らかにした。
また、自治体金庫の運営では、地域内の資金循環や地方の均衡ある発展も考慮すべきだとの立場を示している。
■地域農協の店舗をどう扱うか、地方銀行が反発
今回の自治体金庫選定では、営業店網や地域社会への貢献度など、地域基盤をどう評価するかも大きな焦点になっている。
地方銀行6行(Kwangju Bank、Jeonbuk Bank、Busan Bank、iM Bank、Gyeongnam Bank、Jeju Bank)は7月、自治体金庫の選定評価に当たり、地域農協の実績をNH農協銀行の実績に含めないよう、関連基準の見直しを行政安全部に共同で要請した。
地方銀行側は、NH農協銀行と地域農協は別法人であるにもかかわらず、一部自治体が地域農協の店舗数や地域貢献度をNH農協銀行の実績として認めており、競争の公平性を損ねていると主張している。
全南光州地域では、今年時点の店舗数はKwangju Bankが126店、NH農協銀行が93店となっている。ただ、ここに地域農協の580店を加えると、両者の差は大きく広がるという。
地方銀行は、単純な店舗数だけでなく、営業網の地域別分布まで評価対象になれば、NH農協銀行との格差がさらに広がると懸念している。地域農協は郡部や農漁村まできめ細かく店舗網を持っており、これをNH農協銀行の営業網として合算して評価すれば、地方銀行には一段と不利になるという見方だ。
ある地方銀行関係者は「地域農協の店舗までNH農協銀行の店舗として認めれば、店舗数の時点で競争は厳しい。地域別の分布まで評価されれば、郡単位の地域にも店舗を持つ農協側がさらに有利になる」と話した。
地方銀行内では、前回の選定時より今回の方が評価環境は厳しいとの受け止めも出ている。今年上半期に実施された自治体金庫の選定でもNH農協銀行が第1金庫を確保しており、今回は営業網の分布に関する評価が加わることで、同銀行の地域ネットワークの強みが一段と際立つとの見方がある。
論争の中心となっている全南光州統合特別市は、今回の評価から営業店数だけでなく、5自治区と22市・郡に営業網がどの程度均等に配置されているかも評価する方針だ。関連条例の改正案は先月、市議会を通過した。
地域農協の店舗をNH農協銀行の営業網として認めるかどうかは、自治体金庫の指定審議委員会が別途、審査・評価基準を整備した上で判断するとみられる。
全南光州統合特別市では、第1金庫をNH農協銀行、第2金庫をKwangju Bankが担っている。現行協定は年末までで、その後は公開競争で選ばれた金融機関が来年から自治体金庫を運営する。
地方銀行は、長年にわたり当該地域の金庫業務を担ってきた運営経験と安定性を強みとして打ち出している。ただ、全南と光州の統合で金庫規模が拡大し、競争範囲も広がったことで、従来の地域基盤だけでは優位性を確保しにくいとの見方もある。
セジョン市も、2027年から4年間運営する第1・第2金庫の選定に着手した。金融機関の信用度や財務構造の安定性、貸出金利と預金金利、市民の利用利便性などを評価し、11月までに協定を締結する予定だ。
金融監督院が過当競争に懸念を示してはいるものの、実際の評価基準や指定先の決定権は自治体側にある。このため、競争構図が短期間で大きく変わる可能性は低いとの見方も出ている。
地方銀行関係者は「金融監督院長が問題提起はしたが、自治体金庫の選定は結局、自治体が決める事項だ。地方銀行としては、当面大きな変化を期待しにくい」と述べた。