WiCiが、Wi-Fi 7で接続する無線eGPU「WiCi One」を開発している。米ITメディアのTechRadarが10月1日(現地時間)に報じた。GeForce RTX 5060 Tiと16GBのGDDR7メモリを別筐体に収め、ホスト機器とは無線で接続する構成になるという。
WiCi Oneは、一般的なeGPUと異なり、GPUだけでなくCPUやストレージ、電源、冷却機構、ネットワーク機能も本体に搭載する。RTX 5060 Tiモデルは、Intel Core 3 100Uと1TBのNVMeストレージを備える。WiCiは、クラウド型ストリーミングサービスの代替ではなく、ローカル処理向けの選択肢として位置付けている。
無線接続にはWi-Fi 7を採用した。4x4 MIMOと320MHzチャネル構成に対応し、ホスト機器とは離れた場所から通信できる。ソフトウェア面では、ドライバやソフトウェア開発キット(SDK)、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)を通じてGPUリソースを利用できるよう設計した。利用者が外部に送信しない限り、データはネットワーク内にとどまるとしている。
一方で、課題は帯域幅だ。Wi-Fi 7は16空間ストリームで理論上最大46.1Gbpsに達するが、WiCi Oneが利用するのは4ストリームのみ。4x4構成に320MHz帯域幅、4096-QAMを組み合わせた場合、物理層の速度は約11.52Gbpsとなる。64GbpsのPCIeトラフィックを扱えるThunderbolt 5や、OCuLinkベースのPCIe 4.0 x4と比べると見劣りする。
この点についてWiCiは、自社プロトコルによってキャッシュや重複排除、圧縮、ストリーミング、パイプライニングを行い、ネットワークトラフィックを削減できると説明する。高負荷処理でホスト機器とGPUの間を往復するデータ量を抑える狙いだ。
性能面では、RTX 5060 Tiモデルについて、DLSS 4適用時に4Kウルトラ設定の「Cyberpunk 2077」を80FPS、「Black Myth: Wukong」を4Kシネマティック設定で60FPSで動作させられるとうたう。ただし、この試験は接続したノートPCから約50cmの距離で実施したという。
価格は1999ドルから。一般的なeGPUより高価だが、CPUやストレージなど単体動作に必要な部品を含む。WiCiはこのほか、GeForce RTX 5090、32GB GDDR7、Intel Core Ultra 7 255H、4TBのNVMeストレージを搭載した上位モデルも投入する計画だ。近距離にある複数のホスト機器から、ローカルネットワーク経由でGPUリソースを利用できる設計としている。